日銀が市場との対話を修正、片岡委員の追加緩和主張に対応-関係者

  • 出口論は時期尚早と一蹴も、追加緩和は不要との説明全面に
  • リバーサル・レートのリスク言及めぐる早期の利上げ観測は行き過ぎ

The Bank of Japan (BOJ) headquarters stands in Tokyo, Japan.

Photographer: Akio Kon/Bloomberg
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

異次元緩和からの早期の出口を求めていた審議委員に代わり、追加緩和を求める片岡剛士審議委員が加わったことで、日本銀行は市場との対話の修正を迫られている。事情に詳しい複数の関係者への取材で明らかになった。

  量的・質的緩和の縮小を主張してきた前任の木内登英審議委員の後任として7月に就任した片岡審議委員は、金融政策決定会合で追加緩和を主張。複数の関係者によると、出口論は時期尚早と一蹴してきた日銀はこれまでと一転、金融緩和にも副作用があるため追加緩和は不要との説明を前面に出さざるを得なくなっている。

  黒田総裁は先月、行き過ぎた低金利が金融仲介機能を阻害し緩和効果をそぐ可能性のある「リバーサル・レート」のリスクに言及したことから、長期金利引き上げに向けた布石との見方が一部の市場関係者の間で浮上。市場の反響の大きさに、黒田総裁は4日の講演で、現在の長短金利操作で金融システムに問題は生じていないと述べ、火消しを図った。

  複数の関係者によると、日銀は昨年9月、政策判断は「経済・物価・金融情勢を踏まえ」行うとして、従来なかった「金融情勢」を加え金融仲介機能に配慮する姿勢に転じており、黒田総裁の講演もそれに沿った内容だった。日銀内では、市場関係者の見方は誤解であり、早期の利上げ観測は行き過ぎとの考えが大勢を占めている。

初期のサインか

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは1日のリポートで、黒田総裁がリバーサル・レートに言及したのは「金融機関へのリップサービス」もあるが、主たる目的は「追加緩和論へのけん制」だと指摘。2%達成に追加緩和が必要という片岡氏の主張に対し、追加緩和がなぜ不適切なのかを論じるには、「追加緩和の副作用に触れざるを得ない」とみる。

  日銀は昨年9月、操作目標をマネーから金利に変える長短金利操作を導入。黒田総裁ら政策委員会の多数派は短期金利マイナス0.1%、長期金利0%の政策金利は適切との立場を取り続けている。消費者物価指数(コアCPI)前年比は生鮮食品とエネルギーを除くと0.2%と低迷を続けており、黒田総裁は現在の金融緩和を「粘り強く進めていく」姿勢を強調している。 

  現在は野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内氏は13日のリポートで、黒田総裁の発言について、現時点では正常化の実施を検討していることを示す明確なサインとまでは言いがたいものの、「初期のサインである可能性も考えられるのではないか」としている。

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