携帯参入の楽天株が急落、競争懸念でドコモなど通信株も軒並み安

  • 参入による資金調達は最大6000億円を想定-ハイリスクとアナリスト
  • 基地局設備投資の思惑で協和エクシオなど通信工事会社の株価は上昇

携帯キャリア事業への新規参入を表明した楽天の株価が14日の取引で急落した。投資負担の重さや事業環境の厳しさなどから将来の収益に対して慎重な見方が多かった。

  楽天は14日午前、総務省の第4世代携帯電話システム(4G)用周波数の追加割り当てに対して申請し、移動体通信事業を新たに始めると発表した。基地局の設置工事などの設備投資のために銀行借り入れなどで資金を調達、調達残高は2019年のサービス開始時に約2000億円、25年には最大6000億円を想定。

  新しい事業に対する株式市場の反応は厳しかった。楽天の株価は14日の取引を前日比4.9%安の1084.5円で終了、3月27日以来の安値に沈んだ。0.3%安となった日経平均株価の構成銘柄で下落率1位となった。

  モルガン・スタンレーMUFG証券の津坂徹郎アナリストらはリポートに、成功事例がない携帯電話事業への参入は投資負担が重く、リスクが高く、リターンが極めて不透明で株価へのネガティブ影響は避けられないと記述。同氏らは、これまでに新規参入事業者が成功しなかった理由として、設備投資負担の大きさや基地局ネットワーク構築に時間がかかること、事業開始当初はローミングコストが高く収益性が低くなることなどを挙げた。

  売られたのは楽天の株価だけではなかった。4番目の携帯キャリアが誕生すれば現在の3社は競争激化にさらされるとみられ、NTTドコモが2.3%安の2815.5円、KDDIは2.8%安の3130円、ソフトバンクグループは2.3%安の9150円と軒並み下落した。ファイブスター投信投資顧問の大木昌光運用部長は、通信業界は競争がきいているようできいておらず、現在は3社寡占で空前の利益を稼いでいると指摘。ここに1社が加われば超過利益がはじかれ、既存3社にとって明らかにマイナスとの見方を示した。

  一方、楽天の新規参入が収益にプラスに働くとみられる通信設備工事の銘柄は上昇。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の水谷敏也シニアアナリストはリポートで、「当初の設備投資額がどの程度になるか不透明だが、一定のスペックを備えた基地局投資が必要なため、工事量が増えるというシナリオが描ける。早ければ19年3月期にも工事発注がなされる」と予想した。情報通信工事などを手掛ける協和エクシオは3.9%高の2724円、コムシスホールディングスは3.8%高の3175円、ミライト・ホールディングスは2.4%高の1569円と軒並み高。

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