GPIF水野氏:グーグルやアマゾンが運用業界参入でも「驚かない」

  • 彼らは運用業界にとって破壊的なプレーヤーになり得る-水野氏
  • アクティブ運用を増やしたいが、実績と報酬体系が妨げに-水野氏

水野弘道氏は2015年1月、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の理事(運用担当)兼最高投資責任者(CIO)に就任。今年はESG(環境・社会・ガバナンス)の要素に配慮した国内株式のパッシブ運用を始めた。

問:投資の世界で今後5-10年間に生じ得る最も大きい変化は?

  人工知能(AI)を含むIT(情報技術)の採用とESG要素の考慮が全ての資産クラスに行き渡ること。短期的な収益確保を狙う取引はAIに取って代わられるか、拡充され得る。定型的な業務はAIの役割となるので、多くの人々が職を失っても驚かないだろう。

問:運用業界で今後起こり得る最も大きなサプライズは?

  グーグルアマゾンが参入したり、最大級の運用会社になったりしたら、多くの運用関係者は驚くかもしれないが、私は驚かない。彼らは最先端のAI技術を持っており、今や金融市場だけでなく消費者の間で起きていることに関する全てのビッグデータを保有しているからだ。

Hiromichi Mizuno

Source: GPIF

  トヨタBMWは彼らが参入してくると戦々恐々なのに、運用業界ではそういう話を聞いたことがない。彼らは自動車を製造するより、資産運用の方が遙かに容易だ。金融は全てがデータだからだ。グーグルがAIを使った無料の資産運用サービスを数年以内に発表しても驚かないだろう。彼らは運用業界にとって破壊的なプレーヤーになり得る。機関投資家より個人を狙うとみられ、GPIFに直ちに大きな影響を与えるとは思わないが、AIの活用を前提にしたビジネスモデルの革新については注視したい。

問:アクティブ運用とパッシブ運用のどちらに軍配が上がるか?

  アクティブ運用が今後も主流であるからこそ、パッシブ運用は効率的であり続けられる。個人的にはアクティブの頑張りに期待しているが、運用会社は報酬体系を含めて伝統的なビジネスモデルを見直す必要がある。どの調査を見ても、アクティブは業界全体として高額の報酬を上回るアルファ(超過収益)を稼げていないため、投資家の信頼を勝ち得ていない。アクティブ運用を増やしたい意向を持っているが、これまでの実績と今の報酬体系ではそうはいかない。

問:次の世界的な金融危機をもたらしそうなのは何か?

  先進国の中央銀行が量的緩和策(QE)からの金融正常化の舵取りを誤った場合だ。これほど大規模なQEの巻き戻しは過去に例がなく、非常に大きな歴史的実験となるのに、人々は楽観的に考えすぎているのではないか。金融危機の一因になり得ると言うのは大げさすぎるが、道のりが平たんでなくても驚くには当たらず、もし全く円滑に済むとしたらそれこそ驚きだ。

問:運用業界で見過ごされている最大の投資機会は?

  AIと人間が力を合わせて働くことだ。運用会社からAIの用途として単にアナリスト業務の一部を代行する以上の話を聞いたことがなく、利用者として残念な気持ちでいる。AIが運用に与える影響や活用方法についての調査研究をソニーコンピュータサイエンス研究所に委託した。我々は時代の流れに先んじて動きたい。運用業界がAIを本格的に採用し始めた時には、何が起こりつつあるかを既に理解し、その評価ができている状態でありたい。

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