アベノミクス推進へ賃上げや働き方改革促す-来年度税制改正大綱

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  • 3%の賃上げや先進技術への投資を条件に法人税額20%控除
  • 働き方中立へ給与所得控除から基礎控除に軸足、850万円超で増税

A pedestrian walks past a television screen broadcasting Japan's Prime Minister Shinzo Abe speaking at a parliament in Tokyo, Japan.

Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

自民、公明両党は14日、2018年度与党税制改正大綱を決定した。アベノミクスの推進力となる企業の賃上げや設備投資を促す法人税や、働き方改革を進めるための所得税の見直しが柱だ。

  法人税では前年比3%以上の賃上げや人材教育、先進技術への投資を条件に、最大で法人税額の20%を控除できる仕組みを導入する。賃上げや投資に消極的な企業は、研究開発税制など既存の減税措置の一部を受けることができなくなるアメとムチの政策だ。18年度から20年度までの時限措置で、税優遇を最大限活用した場合、法人税の実質負担は20%程度まで低下する。現行の法人実効税率は29.74%。

  大綱決定後の会見で、自民党の宮沢洋一税調会長は、今回の法人税改革は賃上げや投資を促すとし、「かなりの企業がこの制度を利用してくれると期待している」と述べた。公明党の斉藤鉄夫税調会長は、「ペナルティー的な要素も加味して、われわれの本気度を出した」と語った。

  大綱では「わが国の企業収益が過去最高を更新し続ける中、企業が自己の収益を生産性向上のための設備投資や人材投資に振り向け、持続的な賃上げが可能となる環境を作り出すことが成長と分配の好循環を生み出すためには重要だ」としている。

  政府は当初、賃上げ企業を対象に企業の利益にかかる法人実効税率を25%程度まで引き下げる案も検討していたが、最終的には優遇措置の拡充で決着した。経団連の榊原定征会長は4日の会見で、与党の改革方針について「賃上げ、設備投資の拡大に向けた大きなインセンティブになる」とした上で、引き続き「25%への引き下げを主張していく」と語った。

  SMBC日興証券の宮前耕也シニア財政アナリストは13日の電話取材で、国際競争の観点からは法人実効税率の引き下げの方が効果的だと指摘。来年度税制改正は設備投資や賞与には前向きに働くとした上で、時限措置である以上は「固定費になるベースアップにはつながらない」との見方を示した。

働き方中立

  所得税では、会社員を対象とした給与所得控除と公的年金等控除を10万円引き下げる一方で、組織に属さず働く人も対象となる基礎控除を10万円引き上げる。その上で、年収850万円超の給与所得控除の上限を195万円までもう一段、縮小させる。子育てや介護世帯には負担が生じないようにする。施行は20年1月から。

  大綱では「さまざまな形で働く人をあまねく応援し、『働き方改革』を後押しする観点から、特定の収入にのみ適用される給与所控除から、どのような所得にでも適用される基礎控除に負担調整の比重を移していくことが必要だ」と明記。所得再配分機能の回復や税負担の在り方の観点から、引き続き所得税の見直しを継続していくとしている。

  SMBC日興証券の宮前氏は、今回の所得税改革を「働き方中立を目指す税制」と評価。「労働市場の流動化を促し、賃上げが実現しやすくなる」とも話した。ただ、フリーランスや自営業者は正確な所得の捕捉が難しいとして、マイナンバーの普及などを通した公平な課税が次の課題だと述べた。

  自民党の宮沢氏は大綱決定後の会見で、一連の改正により国税は平年度ベースで1600億円、地方税は1200億円の増収が見込まれると説明。うち、所得税では国税800億円、たばこ税では同1300億円増えるとの見通しを示した。

たばこ増税

  大幅なたばこ増税も盛り込んだ。19年10月に予定されている消費増税時に導入する軽減税率の財源確保の一環だ。紙巻きたばこを4年かけて1本あたり3円引き上げるほか、加熱式たばこにかかる税率も紙巻きの7-9割まで5年間で段階的に引き上げるとともに、各社間の税率格差を縮小する。

  加熱式たばこは現行では「パイプたばこ」に分類され、葉タバコ1グラムにつき紙巻きたばこの1本と換算して税率を算出している。今回の税制改正では、加熱式たばこを新たに税法上に規定し、葉タバコと吸い応えに影響する成分のグリセリンの重さを指標とした従量税を軸に、製品の価格を勘案して課税額を算出する。

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