三菱商:ESG投資の高まり「歓迎」、情報開示を強化-GPIF契機

  • グループ含めた全体の二酸化炭素排出量の削減目標設定など進める
  • ESGへの対応が不十分であれば会社として生き残れない-担当常務

Offshore wind power.

Source: Mitsubishi Corp.

三菱商事は環境対応や社会問題への貢献といった財務に直接関係のない情報の開示をグループ全体で強化する。世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、環境、社会、企業統治を重視したESG投資を開始するなど市場の関心が高まっており、投資家の判断に必要な情報を積極的に提供する。

  事業投資総括とサステナビリティ(持続可能性)推進を担当する戸出巌常務執行役員がインタビューで述べた。「ESGの観点からの取り組みをさらに強化し、約1200社あるグループ会社の情報開示をより充実、強化する」。特に投資家からの関心が高い温暖化ガス関連のほか、食品などの原料調達先農家における児童労働といった慣習の現状把握、根絶していくための取り組みなどの情報開示を進める。

  ESG投資は欧州の年金基金を中心に先行し、米国でも広まりつつある。国際団体グローバル・サステナブル・インベストメント・アライアンス(GSIA)によると、2016年初めの世界のESG投資残高は22兆8900億ドル(約2600兆円)と運用資産全体の26%を占めた。今年7月にはGPIFが1兆円規模のESG投資を始めたと発表。国内での注目も一気に高まり、ESGを対象とした日本株の上場投資信託(ETF)の投入も相次いでいる。

  戸出常務は「重要なステークホルダーでもある投資家がESGを重視することは、われわれにとっても一つの励みになる。歓迎すべき動きだ」と指摘。一方、ESGへの対応が不十分であれば投資対象とは見なされず、「会社として生き残れないことになる」との認識も示した。

  ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの遠藤信也・グローバル株式パッシブ運用グループ責任者は、3年前と比べてESG投資の機運は明らかに高まっているとして「一過性のはやりではなく、加速することはあっても後退することはない」との見方を示す。日本企業のESG情報の開示については「グローバルの投資家が求める水準に達しているケースはほとんどなく、より透明性を高めるなど改善の余地はまだまだ大きい」と述べた。海外では開示に対する株主提案の事例も多いという。 

再エネ比率20%以上に

  三菱商が9月に発行した統合報告書では、国内外で手掛ける発電事業も含めた連結ベースでの二酸化炭素(CO2)排出量を開示した。石油や石炭などを燃料とする火力発電事業のCO2排出量は多いが、公共性が高いとしてこれまで開示対象に含めていなかった。対象に加えたことで17年3月期の排出量は1082万トンと前の期の363万トンから大幅に拡大。今後は全体排出量の削減目標の設定についても検討を進める。 

  欧米を中心に太陽光や風力といった再生可能エネルギーによる発電事業を強化することで、発電事業全体に占める再エネ比率を現在の約10%から30年に20%以上にまで高める具体的な目標も同報告書で初めて掲げた。

  三菱商は昨年10月、環境・CSR推進部を改め、サステナビリティ推進部を新設。戸出常務は、地球温暖化や資源の枯渇、一部新興国における児童労働や奴隷的労働など環境や社会面でサステナビリティを脅かすさまざまな問題に対して「国や政府だけではなく、世界で責任ある企業としての役割が問われている」と説明。「サステナビリティを経営戦略のど真ん中に据えて、利益の中身にこだわる」と述べた。

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