FOMC:慎重なペース逸脱しそうな気配なし-市場関係者の見方

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イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

米連邦公開市場委員会(FOMC)は12、13両日の定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ポイント引き上げ1.25-1.5%のレンジに設定した。2018年については経済成長予測を上方修正したものの、3回の利上げ予測に変化はなかった。

  これについての市場関係者の見方は以下の通り。

◎FOMCの金利の軌道見通し変わらず、低インフレなお想定-BNY
  バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)のシニアグローバル市場ストラテジスト、マービン・ロー氏は、われわれが重要だと受け止めたのは、2018年にかけて米経済が潜在成長率を上回り、それが雇用の力強い伸びをけん引し続けると米連邦準備制度理事会(FRB)が考えている点だと指摘した。

  • だがこうした伸びがインフレ率の急上昇を後押しすることはなさそうだ。インフレ率はゆっくりと着実なペースで2%の目標に引き続き向かうと予想される。

◎イエレン議長、最近の低インフレは一時的との従来判断を強調-BBH
  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)のマーク・チャンドラー氏がリポートで指摘した。

  • イエレンFRB議長は税制改革実現の場合について、「成長を多少支えるだろう」と明言。ただ、13日公表のFOMC経済予測では、全般的な「トレンド成長」の見通しに変化が見込まれていないことが示された。
  • イエレン議長は記者会見で、当局者の大半が各自の予想に「財政刺激の見通しを織り込んだ」ことを明らかにした。

◎FOMC声明、完全雇用に近いとの認識示唆-マーケットフィールド
  FOMC声明で労働市場の状況に関する文言が「力強さを増す」から「力強さを維持する」に変更されたのは、米経済は完全雇用に近いとの当局の認識を示唆している可能性があるとマーケットフィールド・アセット・マネジメントのマイケル・シャウル氏が指摘した。

  • マーケットフィールドは2018年の利上げ回数を当局の金利予測分布図と同じ3回と予想。
  • ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が反対票を投じたのは驚きではないものの、シカゴ連銀のエバンス総裁が同調したのは「パウエル次期FRB議長が就任当初にコンセンサス再形成で若干労力を必要としなければならない可能性を示唆か」。

◎米金融政策が近年の慎重なペースを逸脱しそうな気配なし-ウェルズF
  ウェルズ・ファーゴのマーク・ビトナー氏はリポートで、2018年にFRBが3回利上げすると予想し、それより多い利上げが正当化されるのは、景気が加速してインフレ率を容認し難いほど高める場合に限られると指摘した。

◎FOMC声明に多少の楽観的微調整、政策は据え置き-ウエストパック
  ウエストパック銀行のシニア通貨ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏がリポートに記した。

  • FOMC声明の微妙な修正は、FRBとして米経済が「完全雇用に近接」していると感じていることを示唆。
  • こうした点やイエレンFRB議長自身の発言を踏まえると、「それほど急激なドル安は見込まれない」。減税実現の見通しや緩和的な金融情勢持続によって当面は堅調な経済成長がもたらされるだろう
  • 2018年7-12月(下期)には「ドル相場は全く異なった展開となるだろう」。米議会の中間選挙で民主党が多数派となれば、トランプ政権の政策課題の実現は困難となる可能性がある。

◎FOMCの失業率予想は非現実的、3.5%前後の公算大-パンセオン
  パンセオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェファードソン氏がリポートで指摘した。

  • 2018年末時点の失業率を3.9%とするFOMCの最新予想は「あきれるほど非現実的と見受けられる」-3.5%前後かそれよりもさらに低くなる可能性の方が大きい。
  • 要するに、FRBは終わりなき景気拡大を予想していることになる。そこでは、当局が推計するNAIRU(インフレ加速を伴わない失業率)は4.6%に据え置いたまま、実際の失業率がこの水準を大きく割り込んでいるのにインフレ圧力はずっと最小限で、政策金利は3.1%で頭打ちとなることが想定されている。

◎FOMC後のドル下落、一段の下げに道を開く-CIBC
  FOMCの政策決定に対しドルがマイナスに反応したことは、「インフレについて懸念があることの兆候だ」と、カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマース(CIBC)の為替・マクロストラテジスト、ビパン・ライ氏が指摘した。

  • 「投票権を持つメンバーの顔ぶれが来年変わることは重要だが、ドルは現在の景気循環局面において、より長期的な手掛かりを金融当局から得ることはほとんどない」。「むしろ、為替市場全般においては(円など)過小評価されている他の通貨が焦点となるはずであり、それが2018年に関する当社のドル弱気論を支える」。
  • 18年半ばまでに、ドル・円は1ドル=103-104円に、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.20ドル近辺になると予測。

◎ドル下落は米利上げ見通しを踏まえれば「驚き」-SVB
  FOMCによる13日の利上げは広く予想されていただけにドルの下落は「やや驚き」だとシリコン・バレー・バンクのシニア外国為替トレーダー、ミン・トラン氏が指摘した。

  • 「利上げ見送りを求めて2人が反対票を投じたことは明らかにハト派的だ。だが声明そのものは、来年に向けた景気の回復力の面でかなりタカ派的だった」。
  • 欧州中央銀行(ECB)や英イングランド銀行、カナダ銀行、日銀など主要中銀に比べて米当局の来年の利上げ見通しはより積極的だ。
  • 「そうした観点から私はドルの先行きに強気だ」。

◎最も重要なのはよりタカ派的スタンスに転じていないこと-BI
  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のエコノミスト、カール・リカドンナ、エレーナ・シュルヤティエバ両氏は「12月のFOMC会合で最も重要な点は、政策決定当局者が経済見通しに対して強気な姿勢を強めているにもかかわらず、よりタカ派的なスタンスに転じていないことだ。インフレの軟調な局面が続いていることから、イエレン議長がとってきた政策正常化への段階的なアプローチをパウエル次期議長の下でも続けることは確実だ」と述べた。

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