日銀は消費増税に備え追加緩和を、物価モメンタム不十分-若田部教授

  • 長期国債買い入れを80兆から90兆円、物価目標を2%から3%に
  • 浜田内閣官房参与と共著、複数のエコノミストが次期副総裁と予想

The Bank of Japan (BOJ) headquarters stands in Tokyo, Japan.

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

金融緩和に積極的なリフレ派として知られる早稲田大学の若田部昌澄教授は、2019年10月の消費税10%への引き上げを考慮した場合、日本銀行の追加緩和が必要だとの見解を示した。12日、ブルームバーグの電話取材に答えた。

  若田部氏は、現在の政策を続けたとしても「2020年、21年に達成できると断言できる人は誰もいない」と述べ、増税時までに2%の物価上昇目標達成に十分な物価モメンタム(勢い)が形成される可能性は低いと指摘。「増税が前提となると、やはり追加緩和が必要ではないか」と話した。

若田部昌澄氏

Source: Masazumi Wakatabe

  具体的な緩和策としては、年間80兆円をめどとする長期国債買い入れ額(保有残高の年間増加額)の90兆円への引き上げや物価上昇目標の2%から3%への変更を挙げた。また、政府・日銀の共同声明を改定し、20年度までの名目GDP(国内総生産)600兆円目標を採用することも一つの選択肢としている。

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  日銀の片岡剛士審議委員も10月の金融政策決定会合で、物価目標の達成時期が後ずれした場合は追加緩和が適当だと主張している。若田部氏は首相の経済ブレーンである浜田宏一内閣官房参与との共著があり、複数のエコノミストは日銀の次期副総裁候補とみている。黒田東彦総裁は来年4月、岩田規久男副総裁と中曽宏副総裁は3月に任期満了を迎える。

  若田部氏は次期総裁候補の具体名は挙げず、「現在の物価安定目標2%のフレームワークが継続するかどうかが重要だ」と述べた。また次期総裁は「人工知能のように政策を推進していくこと」が理想だと説明した。

  黒田総裁の金融政策については、14年4月の「消費増税の影響を過小に見積もってしまった」と指摘。日銀総裁は、財政の問題についても、日銀の目標への影響についてのみ言及すべきだとの考えを示した。

  物価目標達成への道のりが遠い中、黒田総裁が11月、講演で低金利が金融仲介機能を阻害するリバーサル・レートに言及したことには、推測を生むため「今はやるべきではない」と話した。「実証研究もなく、日本で起きているという証拠もない」からだという。

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  安倍晋三首相は19年10月に消費増税する方針を示しているほか、14日にとりまとめる来年度税政改正で所得税などを上げる見通しだ。若田部氏は13年度を除き安倍政権の財政政策は緊縮的だったとした上で、デフレ脱却へ向けた「金融政策は世界基準だが財政政策はそうなっていない」と指摘し、「日銀に同情している」と語った。

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