大林組以外も事情聴取と報道、ゼネコン株下落-リニア受注事件

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  • 業績への影響は軽微、今後の受注プロセス複雑化も-アナリスト
  • 民間同士の契約で公共事業と違う、地検の動き「気持ち悪い」

JR東海が発注したリニア中央新幹線関連工事をめぐる受注妨害事件で東京地検特捜部の事情聴取対象が大手ゼネコン4社に広がる様相となり、4社の株価が下落している。アナリストらの間では建設業界全体への影響は軽微とする見方がある一方、リニア中央新幹線の今後の工事発注に影響が出る可能性があるとの指摘も出ている。

  この事件では同特捜部が偽計業務妨害の疑いで大林組を家宅捜索。13日付の読売新聞朝刊は特捜部が大林組のほか鹿島建設清水建設大成建設の担当幹部らも任意で事情聴取していたことが関係者の話で分かったと伝えた。ブルームバーグの取材に大成建設の広報担当、連佛尚幸氏は「事情聴取の有無も含めて回答は控える」とした。清水建設もコメントを控えた。JR東海の広報担当、富久保晴彦氏は「報道されている社員の事情聴取やゼネコン各社の地検捜査についてコメントすることはできない」と述べた。

  13日のゼネコン株は取引時間中に下落した。終値は大林組が0.7%安、鹿島建設は同0.6%安、清水建設は0.9%安、大成建設は1.5%高と上昇に転じた。JR東海は同0.9%高。

  クレディ・スイス証券の望月政広アナリストは、特捜部の捜査対象となっている大林組の受注額が90億円と報道されていることについて「受注金額は小さく、課徴金を想定しても業績への影響は大きくない。影響が出るとすれば今後の発注プロセスが複雑になる可能性がある点だ」と述べた。「1割弱業績が悪化するリスクは株価に織り込まれた」という。

  ドイツ証券の大谷洋司アナリストは「公共投資ならゼネコン業界全体のスキャンダルというのもわかるが、民間のJR東海が民間に発注した工事なので民間同士が納得して契約しているなら問題はない。東京地検が動いているのは、別の問題があるのではないかという気がして、株価にとって気持ち悪い」と語った。

  一方で、SBI証券のシニア・マーケットアドバイザーの雨宮京子氏は「2045年まで続く大型工事で、ゼネコン各社としては異例の大規模・長期工事。少しでも多くの工事を受注したかったのだろうが、越えてはいけない一線を越えていたならば残念だ。今回の報道が事実ならば、談合などの不正と決別宣言をした各社は、組織として法令順守に関する意識をもう一度問い直す必要がありそうだ」と語った。

  JR東海の広報担当者、依田広貴氏によると、同社の柘植康英社長は13日に名古屋で開催した定例会見の冒頭で、今回のJR東海が発注したリニア工事において東京地検が不正があった疑いで捜査を開始したとの報道について「事実関係の把握に努める。今後の捜査の進展を見守りたい。また捜査には全面的に協力する」と述べたという。

  さらに、依田氏は、柘植社長がリニア関連の工事について「国交省から認可されすでに着工しており、今後も緊張感持ち計画通り着実に進めたい」との考えを示したと語った。さらに、質疑応答で、JR東海から情報の漏えいが疑われ、同社社員が事情聴取を受けたとの報道や、ゼネコン各社の幹部が聴取されたとの報道などについて問われると「捜査にかかわる事であり、回答は控えたい」と述べるにとどめたという。

(JR東海社長の会見でのコメントを最終段落に加えました.)
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