ヘッジファンドは死んだのか:草創期モデルが機能しなくなった理由は

  • ロング・アンド・ショート投資戦略、かつてのように機能しない
  • ロング・ショートの戦略は存続が問われているーシーズ氏
Photographer: Ralph Orlowski

ヘッジファンドの衰退を簡潔に語れば、ロング・アンド・ショートの投資戦略がかつてのように機能しなくなったということに尽きる。

  どちらかと言えば単純なこの戦略が、3兆2000億ドル(約363兆円)規模の業界を築いた。上がると思ったら買う(ロング)だけではなく、下がると思えば空売り(ショート)で「ヘッジ」するというのがヘッジファンドという名称の由来でもあった。しかし昨今では、この戦略は精一杯プラス評価しても、当てにならないというところだ。

  ロング・ショート戦略が機能しなくなった理由は幾つも挙げられる。ボラティリティーの低さや低金利、パッシブ運用の拡大、クオンツファンドの数の多さなどだ。さらに株式を公開している米企業の数は約3700社と、1996年の半分に減少した。 

イラスト:Kevin Hong

  こうした理由は単なる言い訳ではない。低金利の環境は空売りで手にした現金からのリターンがないことを意味する。パッシブ投資やクオンツのファンドは、経営難企業の株価を押し上げがちだ。

  ヘッジファンドに投資するプロテジェ・パートナーズをかつて率いたテッド・シーズ氏は、「存続が問われているのはロング・ショートの戦略だ」と、最近の投資家会議で語った。

  約9年にわたる上昇相場が終わるまで、ロング・ショート戦略の危機は少なくとも続くということに異論を唱えるものはあまりいない。そうなって初めて、株式ヘッジファンドが資産を守れるのか、あるいは利益を上げることができるかが明らかになるだろう。

  株式ヘッジファンドへの幻滅と同時に、低リターンのヘッジファンド業界全体から距離を置く動きも広がっている。eベストメントのデータによれば、昨年のヘッジファンドへの資金動向は1060億ドルの純流出だった。

  最近の傾向を見ると、コストが安く、難解で門外不出の投資手法を用いるファンドにヘッジファンドの生き残りはかかっているようだ。売買の判断にコンピューターを使い、手数料を低く抑えたロング重視またはロングオンリーのファンドが、今年の資金流入の上位を占める。

  そうしたファンドの例を挙げると、ルネッサンス・テクノロジーズには今年これまで100億ドルが流入。トゥー・シグマの資産は500億ドルと、1年前の380億ドルから増えた。

原題:Death of a Hedge Fund: Why the Original Model Is Fading Fast (1)(抜粋)

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