引き締めに程遠い日銀、他のアジア中銀も慎重-債務増大が足かせに

  • 債務負担が最大級の日本、引き締め近いとみる向きはほとんどいない
  • あらゆる債務は「突然、問題と化す」-デービッド・マン氏
Bloomberg

アジア太平洋地域では何年も続いた低金利で債務が積み上がり、金融政策引き締めに慎重にならざるを得ない中央銀行が多い。

  韓国銀行は11月30日に利上げに踏み切った。だが国内では家計債務が可処分所得の約150%に膨らんでいる。オーストラリアは194%だ。中国の企業債務は国内総生産(GDP)の約160%相当。前例のない刺激策を続ける日本銀行は、バランスシートが日本経済とほぼ同規模。

  野村ホールディングスのロバート・サブバラマン氏らエコノミストはリポートで、「恐らくインフレを巡るサプライズがきっかけとなり、高水準のアジア債務がクレジットリスクの世界的リプライシングにさらされる」と指摘した。

ブルームバーグのエンダ・カラン記者がアジアの金融政策に債務が与える影響について伝える

(出所:Bloomberg)

  域内でも脆弱(ぜいじゃく)さにばらつきがあるが、積極的に来年利上げすると見込まれるフィリピンでは家計債務が低水準だというのは偶然とは言えなさそうだ。対照的に、オーストラリア準備銀行は12月5日、政策金利を過去最低の1.5%に据え置くとともに、家計債務が所得の伸びを上回るペースで増えていると警告した。

  マレーシアの家計債務はGDPの約88%相当と途上国では高水準で、マレーシア中銀のムハマド総裁はいかなる調整であれ、引き締めよりむしろ「正常化」になるだろうと話す。

  今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利上げが予想されているが、ブルームバーグ調査によれば、中国人民銀行はFOMCに追随し公開市場操作(オペ)金利を引き上げることを見送る見通し。金利引き上げよりむしろ、経済にショックを与えないようレバレッジを圧縮するマクロプルーデンス政策で債務抑制を図っている。

  インドでは政府債務がGDPの7割に近い水準。銀行システム内の過剰資金を吸収することで、インド準備銀行は流動性引き締めに動いている。こうした中銀動向と共に、政策金利が底に近くインフレが加速しそうだとの見方が債券利回りを押し上げている。

  債務負担が世界最大級の日本では、日銀が近く引き締めを行うとみる向きはほとんどない。スダンダードチャータードのチーフエコノミスト、デービッド・マン氏は、アジアでは全体的に債務の積み上がりが引き締めサイクルを抑制しているとし、あらゆる債務は「突然、問題と化す」と語っている。

原題:Surging Debt Will Make Asian Central Banks Cautious on Rates(抜粋)

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