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旭化成:欧州と中国でも電池材料生産へ-EV拡大にらみ「地産地消」

  • EV電池向けセパレ-タ、2020年以降見据え世界供給体制を構築へ
  • 2021年度までの次期中計、営業利益率10%以上、投資は7000億円超に

総合化学大手の旭化成は、電気自動車(EV)の普及拡大をにらみ、欧州と中国にリチウムイオン電池の主要部材であるセパレータなどの生産拠点を新設する方針だ。小堀秀毅社長が8日のインタビューで明らかにした。

  小堀社長は「セパレータの拡大戦略でアクセルをさらに踏む」と指摘。2020年以降の実現を見据えて、世界的な生産体制の構築を目指す考えを示した。拠点増設に関しては今後数年内に意思決定するという。現在のセパレータの生産拠点は日本と米国の2カ国となっている。

Asahi Kasei

小堀社長

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  旭化成は充電して繰り返し使用できるリチウムイオン二次電池の発明・製造に初期から取り組んでおり、携帯電話など民生用を含めた全セパレータ市場で世界シェア5割超のトップ。セパレータは電池の正極と負極を分離する薄いフィルムで、発火防止などの重要な機能を持つ。

  欧州諸国によるEV化の推進などでEV用電池の需要は急速に高まっている。小堀社長は15年に買収した米ポリポア社がドイツとフランスに鉛蓄電池工場を持つことに触れ、溶液など重複する部材が新拠点でも活用できるほか、物流体制や人材育成でもメリットがあるとし、「次の進出先の選択肢として浮かびやすい」と指摘した。

営業利益率10%以上へ

  一方、中国については「一番大きなマーケットになることを考えれば地産地消という考え方が一番合理的」と地場企業との合弁生産などを視野に入れている。足元のセパレータ事業は電池メーカーなど「客先からの問い合わせは非常に多く良い状況」で、ポリポア社買収時に想定していた以上のEVシフトが起こっているという。

  旭化成の4-9月期のセパレータ事業の売上高は前年同期比4割弱増加、ポリポア社買収にからむのれん償却後の営業損益は黒字に浮上した。既にリチウムイオン電池向けの増産を進めており、現在年間6億平方メートルの生産能力は、2020年ごろには15億4000万平方メートルとなる見込み。この増産への総投資額は最大500億円に上る。

  現状、EV向けでは東レなどの後塵を拝しているというが、小堀社長は「EVで業界をリードするような自動車メーカーに供給できてさえいれば、いずれはEV向けでもナンバーワンになる」と、目先のシェアは追わない考え。安全性や耐久性の高さなどを追求し、技術的な業界標準となることを目指す。

  小堀社長は19年春に公表予定の次期中期経営計画(21年度までの3カ年)についても言及。16年度に8.5%だった売上高営業利益率を「10%以上」に高めたいほか、19年度までの現中計で計画している7000億円を上回る資金を企業の合併・買収(M&A)や設備投資などの投資に回す方針を示した。

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