日銀ETFの購入縮小見通しが日本株市場で浮上-相場好転で肯定論も

  • 大和住銀投信やUBSは4兆円程度への減額が来年あり得ると予想
  • 購入縮小は当初株価にマイナスでも長期資金を呼び込めるとの見方
Phogorapher: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Phogorapher: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本株がバブル崩壊後の高値を更新し景気回復が持続、インフレ率がじわり上昇する中、日本銀行が指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ規模を縮小させるとの見方が株式市場で浮上している。

  日銀がETF買い入れを年6兆円に倍増することを決定した昨年7月当時は、英国の欧州連合(EU)離脱に伴う金融市場の混乱があったが、その後は環境が改善。世界景気の拡大や堅調な企業業績を背景に、東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価は2016年7月の安値から先月9日の高値まで約5割上昇した。ことしの日銀の買い入れ額はこれまでに5兆円を超え、野村証券の試算によると、同買い入れによる日経平均の押し上げ効果は1500円に達した。

  大和住銀投信投資顧問・経済調査部の門司総一郎部長は「今は株式市況が強く、日銀が6兆円買い続けることを正当化することが難しい」と述べ、来年3月までに買い入れ規模を4兆-5兆円に減額させる可能性があるとみる。UBS証券ウェルス・マネジメント本部の居林通日本株リサーチヘッドも経済情勢の好転から6兆円維持は難しいとし、4兆円への減額を見込んでいる。

  日銀がETF買い入れを縮小させれば、株価への影響は必至だ。仮に購入規模を半減させれば、日経平均は2000ー3000円下がるかもしれないと三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長はみる。ただ、当初は相場を押し下げても、日銀購入による日本経済の実態を伴わない株高を懸念して投資を敬遠してきた長期スタンスの資金を呼び込め、プラスとの見方もある。

  大和住銀投信の門司氏は、日銀が購入を縮小すれば「初動の段階で日経平均が5-10%下がる可能性はある」とする一方、日銀のETF買いは海外の政府系ファンド (SWF)や年金などの長期資金にとって邪魔者であり、こうした資金を日本から遠ざける効果があることを指摘。このため「縮小するスケジュールが表明されれば、良質な資金が日本に入って来やすくなり、長期的に日本株にプラス」と同氏は語った。

  富国生命保険の山田一郎株式部長も、将来的な日銀の保有株売却を懸念する投資家が日本市場を避けている可能性があるとし、「日銀が買うことがマイナスになっている可能性はゼロではない」と指摘。弊害の方が大きいという見方が市場で支配的になれば、政策変更による株価のマイナス影響は限定的となり、「出口戦略はやりやすくなる」と述べた。

10月の買い出動は2日にとどまる

  日本経済は7-9月に実質国内総生産(GDP)が7期連続のプラス成長。日経平均は10月、過去最長の16営業日連騰を記録した。同月の日銀によるETF買い入れ実施日数は今年最低の2日にとどまったが、好調な企業業績などを受けてTOPIXは5.5%値上がりした。同月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は10カ月連続で上昇。ただし、前年比上昇率は0.8%と、日銀が目標とする2%達成には程遠く、11月に入るとETF購入日は8日に増えた。

  日銀の黒田東彦総裁は7日、都内での講演後の質疑応答でETF購入について、「資産市場のリスクプレミアムへの働き掛けを通じて経済、物価にプラスをもたらすという観点から実施している」と説明。今後も「2%の物価目標のための必要性を踏まえながら適切に判断する」とし、現時点では「引き続き必要と考えている」と述べた。

  三菱モルガンの藤戸氏は来年4月以降も黒田総裁が続投するなら、6兆円規模のETF購入は維持されるとみる。日銀のETF購入によって日経平均は2万円の壁を突破したとの見方を示し、「政府側の財政出動による景気刺激策とともにアベノミクスの2本柱となっている日銀の異次元緩和を変えることは、その根幹を揺るがすことになる」と言う。

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