野村が初の国内債ETFをきょう上場、年金運用の分散投資に選択肢

  • 年金はもちろん将来はGPIFや日銀の買い入れも-メリル日本証
  • 低金利下で国内債パッシブは厳しい、個人の参入も期待薄-みずほ証
Photographer: Kimimasa Mayama

国内債券の指数連動型上場投資信託(ETF)が11日、東京証券取引所に上場する。運用対象が日本株に偏っていた国内上場のETFに国内債券が初めて加わることで、年金基金などは低コストで幅広い分散投資を進めやすくなる。一方、債券運用利回りの低迷が続く中、これまで上場が見送られてきた経緯もあり、直ちに人気を集めるのは難しいといった見方も出ている。

  野村アセットマネジメントの「NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信」で、当初設定額は1億円。上場後に随時変動する。国内債券市場の動向を表す代表的な運用指標「NOMURAボンド・パフォーマンス・インデックス」(野村BPI、総合)に連動する。同指数は10月末時点で国債が8割を占め、残りは地方債や政府保証債、金融・事業債などで構成されている。

  野村アセットのETF営業担当者、奥山修氏は「ETFは取引所のお墨付きもあって透明性が高く、運用コストもアクティブ商品より安い」と言う。運用会社が機関投資家や個人向けに投資信託を組成する際、今回同時に上場する外国債券や外国株式などのETFとともに活用してほしいと表明。「誰もが年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のような国際分散投資ができるようになる」と説明した。

  東証の統計によると、日本のETFは9月末時点で221本、運用残高は約27.6兆円と、ともに過去最高。世界的な金融危機前に当たる2007年と比べても、それぞれ12倍超、7倍超に膨らんでいる。野村総合研究所のデータによれば、野村アセットのシェアは国内のETF売買代金で85%、運用残高では45%。野村BPIを基準にした市場の運用資産はパッシブ運用で約35兆円、アクティブ運用も含めると約60兆円に上るという。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは「債券ETFはパッシブ運用になるし、自社で全てやるよりコストも抑えられるため、海外では年金基金などに普及している」と指摘。「外債と内外株式のETFと組み合わせれば、GPIFと似たポートフォリオを簡単に作れる。将来的にはGPIF自身が債券ETFに投資したり、日銀が国債買い入れオペを減らして債券ETFを買う可能性もある」とみる。

大ヒット期待せず

  一方、みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは国内債ETFの普及に慎重な見方だ。「円債の金利が非常に低く、パッシブでは収益を上げにくい中、イールドカーブのわずかなゆがみを活用するなどの努力が求められている」と指摘。個人投資家についても、安全性が最も高い個人向け国債ですら低金利で売れにくい中では、「今まで債券投資に無縁だった資金が直ちに流入して来るとは考えにくい」とみている。

  ブルームバーグのデータによると、野村BPI(総合)は金利が変動した場合の債券価格の変動リスクに連動する残存期間が足元で8.94年と10年前より約3年分延びたにもかかわらず、複利利回りは0.14%にとどまっている。

  野村アセットの奥山氏は、債券ETFが「単独で大ヒットするとまでは期待していないが、分散投資のポートフォリオを組むには当然必要な部品だ」と指摘。米国での年金や生命保険会社への普及に加え、国内で公募の指数投信の残高が約1兆円と3年間で数倍に達し、ラップ口座は約7兆円と10年前の11倍前後に膨らむなど「分散投資への需要は着実に高まっている」としている。

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