【コラム】主要中銀の2018年を占う、リスクは一斉正常化-エラリアン

世界同時好況の進行で、2018年は金融システムにとって重要な世界の中央銀行では政策正常化の機運が高まるとみられる。正常化の着手もしくは継続が可能になる公算は大きく、すでに着手済みの中銀もこれまで以上に意欲的になることが考えられる。だが中央銀行全体ではそうであっても、個別では微妙に状況が異なり、政策的な難度やミスを犯すリスクの度合いはさまざまだ。

  このプロセスが最も進んでいるのは米連邦準備制度理事会(FRB)だ。FRBは12月にもう一度金利を引き上げて18年に入ると見込まれ、議会通過のプロセスにある税制改革法案のおかげで正常化の可能性が一段と広がると予想される。連邦公開市場委員会(FOMC)は来年2-3回の追加利上げを予想しているが、市場はこの織り込み具合を高める必要に迫られるかもしれない。この修正は必ずしも金融の安定や経済成長を阻害することにはならない。

  FRBが抱える複雑な問題は、長期債利回りやイールドカーブの形状に関して、他の主要中銀が推進する非従来型の政策が大きな影響を及ぼし続けるということだ。この点で、FRBにとって政策の難度は目立って高い。

  日本銀行には金融緩和のペースを緩めるよう圧力が高まるだろう。資産購入プログラムの縮小をより真剣に考えなければならなくなるほか、現在0%としている10年債利回りの誘導目標引き上げについても、来年行動に出る公算が大きい。日銀はこの2つを慎重に順序正しく行っていかなければならず、その難度はほぼ、安倍首相が遅れている構造改革(第3の矢)を実行できるかどうかで違ってくる。

  欧州中央銀行(ECB)は、最近発表した9月まで月額300億ユーロ(約4兆円)に半減させて資産買い入れを続ける計画を極力守ろうとするだろうが、これは大規模な量的緩和の完全終了に向かう前触れだ。その後にはマイナス圏にある政策金利の引き上げが控えている。だが、最近公表されたECB政策委員会の議事要旨から判断すると、委員会内の意見は割れている様子だ。インフレ率が現在の想定よりも上向き、量的緩和からの脱却を加速させる方向でフォワードガイダンスの変更が必要になる場合、ECBは難しい立場に追い込まれる可能性がある。

  19カ国を束ねなければならないECBとは異なり、イングランド銀行にそのような複雑さはない。それでも成長見通しの下方修正とインフレ率の高止まりで、政策的な板挟みに遭っている。追加利上げでインフレに対応すれば景気減速を深刻化させる恐れがある一方で、利上げを先送りすれば、インフレ期待が悪い方向へと上振れする可能性がある。しかも、欧州連合(EU)離脱を巡る不透明性はこのリスクに織り込まれていない。

  これら全てを合わせても、世界経済には良い知らせがある。世界で最も強力な中央銀行であるFRBが直面する政策的難度は一番低いということだ。しかもその過程で、将来の成長やインフレが想定を下回るリスクに対処できる政策的柔軟性を回復できると見込まれる。一方、最も難しい位置にいるのがこの先進国中銀のうち重要度が最も低いイングランド銀であることも、明るい材料となり得る。ただ、これらは中銀の政策ミスが来年に起きないことを自動的に保証するものではない。世界経済にとっての最大の不透明性は個別の中銀見通しよりも、中国人民銀行を含め世界の主要中銀が一斉に金融緩和の縮小を決めた時に何が起こるかだろう。

原題:The 2018 Outlook for Major Central Banks: Mohamed A. El-Erian(抜粋)

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