制裁強化で孤立、漁獲量増狙い操業範囲拡大か-北朝鮮船の漂着相次ぐ

  • 昨年1年間で66件発生、今年11月中に24件と急増-海上保安庁
  • 中国に沿岸部漁業権売却し日本近海で操業増加-拓殖大・武貞氏

日本海沿岸部で北朝鮮からとみられる木造船の漂着が相次いでいる。専門家は核・ミサイル開発に対する経済制裁強化の影響で、国際社会から孤立した同国の漁民たちが自国の漁獲量を増やそうとより離れた海域で操業を行っていることが要因と指摘している。

  朝鮮半島の国際関係論が専門の武貞秀士拓殖大特任教授は、9月の国連安保理制裁決議によって北朝鮮と海外市場との取引が制限されたことが「大きなきっかけ」と話す。国内の農業・漁業分野で生産高を上げる必要があり「今まで以上に多くの漁船が日本海に出て魚を余分に取る行動に出ている」という。

北海道松前沖で見つかった北朝鮮籍の木造船(11月29日)

Photographer: Kyodo News via Getty Images

  海上保安庁によると、北朝鮮籍とみられる船の漂流・漂着事案はここ数年間、毎年確認されているが、11月1ー27日に24件と急増した。2016年は66件だった。

  さらに武貞氏は、北朝鮮が外貨獲得目的で中国に沿岸部の漁業権を売却したため、日本の排他的経済水域(EEZ)の男鹿半島から西に約400キロに位置する「大和堆(やまとたい)」という好漁場まで来て漁を行うことが増えていることも要因となっていると語った。

  11月23日に秋田県由利本荘市に木造船が漂着した事案では、「北朝鮮から来た」と話す男性8人が保護された。最近は乗組員が生存したまま日本にたどり着くケースも数件あるが、大半は船が破損し、乗組員が不在か死亡していることの方が多い。昨年は生存者が確認された例はなく、15年も45件中わずか一人だった。

  秋田県男鹿市では、11月27日に海水浴場に漂着した船から8遺体が発見された。共同通信によると船内からハングルが書かれた北朝鮮製と見られるたばこの箱が発見されており、同国籍の可能性が強いという。

  同市は検視作業の後に乗務員の遺体を引き取り、1日までに8人全員の火葬を終える予定。遺骨は共同墓地を管理する寺に一時安置される。同市生活環境課の伊藤文興課長によると8人は「行旅死亡人」という身元不明の死者として扱うという。漂着船も同市が解体し、一般廃棄物として埋め立て処分することにしている。

  伊藤氏は漂着船の増加について「私どもでどうにかできるものではないので、状況を見るしかない」と懸念を示した。

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