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増え続ける見捨てられる土地、すでに九州全体の規模まで拡大

  • 2040年までには北海道本島に迫るまで拡大、経済損失は約6兆円
  • 震災復興事業により問題が表面化、今年度の骨太方針にも明記
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Photographer: Tomohiro Ohsumi
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Photographer: Tomohiro Ohsumi

人口減少が進む日本で、見捨てられるのは家や墓だけではない。土地も同じだ。

  増田寛也元総務相が座長を務める所有者不明土地問題研究会によると、九州の土地面積を上回る約410万ヘクタールの土地が所有者不明となっている。日本全体の約11%の規模。国土交通省による調査を基に、同研究会が全国推計を算出した。10月公表の将来推計では、2040年までに約720万ヘクタールと北海道本島に迫る面積まで拡大し、機会損失や税の滞納などを含めた経済的損失は約6兆円とした。

  海外と比較すると、現在、デンマーク全体に匹敵する広さとなり、40年にはアイルランドの大きさに拡大する。

Japan’s Forgotten Land

  早稲田大学大学院の山野目章夫教授は、土地がお金を生む資産ではなくなった時、家族にとっては負担になり、義務ではない登記の更新が何世代にわたって行われない事例があるという。所有者不明地の問題に関連した二つの有識者会議を率いる山野目氏は、過疎地域では土地を「処分しようとしてもなかなか不動産が地方の市場では回らない」と11月27日の取材で述べた。

  問題が表面化したきっかけは、11年に発生した東日本大震災の復興事業。山野目氏によると、被災者の安全を確保するために高台に住宅を整備する計画が、所有者不明地のために滞る例があったという。

  公共性の非常に高い事業の場合、政府は土地収用制度を利用して所有者全員が見つからなくても土地を回収することができる。しかし、制度の用途は限定的だ。

  国交省の資料によると、河川改良事業を行う際、墓地として利用されていた共有地の登記更新が1958年から行われていなかった事例がある。相続人は約242名でうち3名が所在不明となっていたため土地収用が困難となったという。

  政府は「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針)に所有者不明の土地問題を明記。現在、有識者会議を通じて土地問題への解決策を議論している。

  日本土地家屋調査士会連合会の柳澤尚幸専務理事は、所有者不明地が「虫食い的に存在していくと非常に土地として利用しづらい」と11月27日の取材で語った。柳澤氏はこの問題は少子高齢化の進む「地方においては進行することはあっても解消する方向にはなかなか行かない」と述べた。

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