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東レ債も下落、不祥事は神戸鋼・三菱マ以降も-素材産業信用低下

更新日時
  • 東レ債は2円安、神戸鋼と三菱マは額面を大きく割り込み
  • 「素材産業への社債投資に二の足を踏む投資家も」と大和証・大橋氏
Toray Industries Inc. President Akihiro Nikkaku News Conference On Data Falsification
Photographer: Shiho Fukada
Toray Industries Inc. President Akihiro Nikkaku News Conference On Data Falsification
Photographer: Shiho Fukada

製品検査データ改ざんが発覚した東レの社債が売られている。同様の問題を起こした神戸製鋼所や三菱マテリアルも既に売り込まれており、日本の素材産業全体に対する信用が低下する可能性を指摘するアナリストもいる。

  東レ債(2027年7月償還)は28日、98.59円と前日比2円安となり、額面(100円)を割り込んだ。国債に対する上乗せ金利(スプレッド)は50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、前日の28bpから拡大した。

素材企業の社債が不正問題で下落

  日本の素材産業では、神戸製鋼を皮切りに三菱マ、東レとデータ改ざん問題が相次ぎ、いずれも社債や社債保証コストのクレジットデフォルトスワップ(CDS)などの信用指標が悪化している。ユーザー企業の製品の安全性を揺るがし、破たんに追い込まれたタカタの例があるだけに市場は敏感になっている。

  大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは29日付のリポートで、東レについて「製品の安全性に問題はなく、クレジット評価への影響は限定的」と指摘。ただ、素材メーカーのデータ改ざん続出は「ゆゆしき事」とし、同業界への「社債投資に二の足を踏む投資家が出てくることが懸念される」と述べた。不正問題は事前に感知することができないため、リスク回避に向け「素材産業への投資を手控えるのも合理的な選択肢の一つと言えなくもない」と記した。

  素材業界のデータ問題の背景について、大橋氏は顧客が要求するスペックが必要以上に厳しい可能性があるほか、「多少のスペック未達は材料としての性能に問題はなく、顧客同意の下であれば、特別採用として出荷が可能という商慣行も関係している」とみる。

底値はまだ見えず

  今後のポイントは、ユーザー企業の製品安全性に響きリコールや賠償問題、売り上げ減少につながってくるのかどうかにある。ニッセイ基礎研究所の徳島勝幸年金研究部長は、「影響が業績にどう出てくるか、格付けが下がるかどうかが重要だ」と話す。

  問題製品の8割で安全確認ができたと発表した神戸製鋼の場合は、一時84円台まで売り込まれた社債が92円台まで戻している。また10月に行われた日本銀行の社債買いオペで、同社債が応札された可能性があり、これも下支え要因となっている。

  BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、不正発覚のようなイベントによるスプレッド拡大は「基本的には投資機会」と見ており、粉飾決算を起こしたオリンパスや原油流出事故を起こした英BPの社債は下落後に大きく回復したと説明した。ただ、東レ、三菱マ、神戸鋼などの社債については、問題の影響がまだ見えていないため「投資機会かどうかはまだ分からない」と語った。

(第5段落以降を追加しました.)
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