東レ:子会社が製品検査データを不正改ざん、8年間で149件

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  • 16年8月に把握も開示せず、11月にネット書き込みあったことで公表
  • タイヤ用や自動車ホース・ベルト用の補強材などの品質数値書き換え
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

東レは28日、子会社がタイヤなど形状を維持するための補強材の製品検査データを不正に改ざんしていたと発表した。13社の顧客に対し、2008年4月から16年7月までの8年3カ月間に計149件の品質数値の書き換えが行われていた。

  同社の発表によると、書き換えが行われた製品はタイヤ用、自動車のホース・ベルト用、抄紙用のコードと呼ばれる補強材。子会社の東レハイブリッドコードが、タイヤメーカーや自動車部品メーカー、抄紙用フェルトメーカーに製品を納入する際に、顧客との間で取り決めた規格から外れた製品の品質データを規格内の数字に書き換えていたという。現時点では法令違反や安全に問題のある案件は見つかっていないとしている。

  不正は16年7月に行われたコンプライアンス調査の結果で発覚。都内で会見した東レの日覚昭広社長によると、当初は法令違反や安全上の問題はなかったことなどから公表しない方針だったという。しかし、11月3日にインターネット掲示板上での書き込みがあり、一部株主からの問い合わせもあったことから発表に踏み切ったと話した。

  この件を踏まえて、同社では品質管理を担当している社員6674人を対象にヒアリングを実施。東レ全体でデータ改ざん懸念のある事案がさらに137件あることが判明し、現在詳細調査を行っているとしている。日覚氏は米ボーイング向けの製品には不正なデータの書き換えはないと話した。

  また、149件の対象となった顧客13社について同社は具体名は開示していないが、日覚氏は「ほとんどが日本企業」とした上で、韓国の企業が含まれていることを明らかにした。また、今後他のケースでも基本的には「法令違反や安全性に問題ない場合は情報公開は必要ない」との認識を示した。

  同社は27日に外部の有識者から成る調査委員会を設立し、年内をめどに調査結果をまとめた上で今年度内に再発防止策を取りまとめる方針。日覚氏は業績への影響については「ほとんどないと思う」と話した。

原因究明の徹底を  

  SBI証券の雨宮京子シニアマーケットアドバイザーは、「データ改ざんは株主を含め一般に公開するべき情報。会社の姿勢は時代遅れと言わざるを得ない」と指摘。その上で、株主には外国人投資家も多数おり「古い日本の会社のやり方がもう通じないということを認識すべきだ」と苦言を呈した。経団連の現役会長の出身企業であるという自覚を持ち、コンプライアンスと情報の透明性向上については原因究明を含めて徹底して行う必要があるとも述べた。

  東レの株価はこの日、データ改ざんで会見とのメディア報道を受けて急落。一時は前日比8.5%安の1010.5円まで下げる場面もあった。午後には下げ幅をやや縮小し、午後2時35分現在は同5.5%安の1043.5円で取引されている。

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