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【インサイト】次期FRB議長の課題:利上げで成長を殺さないこと

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Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
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イールドカーブのフラット化への市場の関心が高まっている。イールドカーブは景気減速に先行してフラット化する傾向があるのは事実である。しかしこれはフラット化の中でも特に注意を要するタイプで、誤った金融政策によって起こることが多い。

・フラット化は将来的な金融政策の誤りのサイン

  ベア・フラットニングは景気への危険信号で、金融引き締めで拍車が掛かることが多い。米国財務省が短期国債の発行を増やし、米国連邦準備制度理事会(FRB)が緩やかな利上げを続ければ、今後数四半期でフラット化が一段と進むと考えられる。10年国債と5年国債/5年国債先物の利回りは2%近辺で均衡すると考えられ、新たな税制が導入されても長期的にインフレ率が2%を超えることは期待しづらく、スティープ化は困難と思われる。

  過去30年以上の歴史を見ても、イールドカーブは景気後退に先行してフラット化している。フラット化から数年して景気後退局面に入ることもあった。1990年代の景気後退局面に入る前は、5年もの間、2年国債/10年国債の利回り差が 50ベーシスポイント(bp)以下のままだった。また、1980年代後半と2000年代半ばにも、フラット化から約2年後に景気が後退した。

景気減速前にベア・フラットニングとなる

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・イールドカーブ形状の変化の種類

  一般に、カーブ形状の変化の仕方は4つに分類される。 ベア・フラットニングは、償還までの期間が短い債券の方が長い債券よりも売られる時に起こり、長短金利差が縮小する状態である。景気減速に先行する傾向があり、通常はFRBの利上げと連動する。ブル・スティープニングは、景気後退によって金融政策が緩和され、インフレ期待が高まり、短期金利が長期金利より速いペースで低下するときに起こる。

  イールドカーブはベア・フラットニングかブル・スティープニングのいずれかになりやすいが、ベア・スティープニングとブル・フラットニングの時期も存在した。 これらは、政策当局が従来通りの、あるいは迅速な行動を取らないと考えられたときに起こる。 例えば2010年から2014年までの量的緩和局面では、ブル・フラットニングの形状となった。

イールドカーブ形状(ブル/ベア)のマトリックス

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・フラット化が景気に及ぼす影響

  中央銀行は、金融政策の効果が出るには時間がかかり、その期間は一定ではないとしている。理由のひとつとして、金利は時間の経過とともにコストや投資活動に影響を及ぼすのに対し、市場が新たな金融政策に適応するまでには時間を要することが挙げられる。これが、市場参加者の多くが言及するように、利上げ実施にもかかわらず金融環境が劇的に改善している理由だ。現在のサイクルにおけるFRBのもう一つの課題として、民間債務の返済期間が長期化し、利上げが経済に影響を及ぼすまでに時間がかかることが挙げられる。

  現在、民間の短期債務は債務総額の10%未満と、10年前の18%、1990年代後半の20%から低下している。リボ払い型消費者ローン、金融機関のフェデラル・ファンドおよび現金担保付債権貸借、ならびにすべてのコマーシャルペーパーを短期債務と定義している。

短期債務が少ないほど、金融政策効果の発現が遅れる

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  金融政策が緩和方向に動けば緩和的な金融環境となる。その逆も同様である。金融政策当局の役割は、インフレ率が低過ぎて景気が停滞していると判断されたときにインフレ率を引き上げて景気回復を促し、その後インフレ率が過度に上昇するほど緩和状態が続かないようにすることだ。 利上げ実施後もなお多くの金融政策が緩和方向に動くなら、FRBはより速いペースで利上げを実施する必要があるだろう。

これまでFRBは速いペースでの利上げ(1990年代)や定期的かつ長期の利上げ(2000年代)でこのような状況に対応してきた。 しかし現在FRBは急激な利上げには消極的とみられることから、リスク資産のパフォーマンスは引き続き良好で、イールドカーブのフラット化もゆっくりと進むと考えられる。

財務状態とフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標

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原文の英字記事はこちらをクリック
Powell Fed Challenge: History of Hikes Killing Economic Growth

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