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Photographer: Steve Krongard/Bloomberg

超音速旅客機で旅しよう、でも荷造りは当分お預け-QuickTake

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  • マッハ2で飛んでいた「コンコルド」引退から来年で15年
  • NASAやGEに加え、新興企業が超音速旅客機の投入見据える
Supersonic transport taxiing on runway
Photographer: Steve Krongard/Bloomberg

1976年から2003年まで大西洋路線に就航していた世界初の超音速旅客機「コンコルド」は、コストと騒音の問題を解決できず引退に追い込まれた。だが今、米航空宇宙局(NASA)やロッキード・マーチン、ゼネラル・エレクトリック(GE)に加え、多くの新興企業が全く新しい設計とテクノロジーで超音速旅客機の商業運航を見据えている。

1.スピード

  マッハ1は海面上で時速1223キロ程度とされている。開発中の超音速旅客機は最も遅いものでマッハ1.5、最速はマッハ2.2だ。コンコルドは大西洋を約マッハ2、つまり音速の2倍で横断し、ニューヨーク-ロンドン間を約3時間半と、音速に届かない旅客機のほぼ半分の時間で結んでいた。

2.定期便かプライベートジェットか

  アエリオンスパイク・エアロスペースがまず目指すのはプライベートジェットとしての超音速機投入だ。ブーム・テクノロジーは航空会社向けに乗客45-55人を乗せマッハ2.2で飛ぶ大きめの超音速機に取り組んでいる。スパイクも最近、40人乗りの旅客機に設計を変更する可能性を探り始めた。スパイクのS-512は最大22人を乗せマッハ1.6で飛行する計画で、やはりプライベートジェットとして設計されているアエリオンのAS2はマッハ1.5前後で飛ぶ予定。

3.コンコルドの生まれ変わりか

  エールフランスとブリティッシュ・エアウェイズが共同運航していたコンコルドの欠点はガソリンの大量消費で、こうした燃費の悪さが高い運賃につながっていた。超音速旅客機に今求められているのは環境に優しく、厄介なメンテナンスなしで現在の旅客機と同じ程度の頻度で安定運航が妥当なコストでできることだ。音速の壁を突破しても、コンコルドのように地上の窓ガラスを揺らすソニックブームを起こすことなく、静かに飛ぶことも必要だ。

4.ソニックブーム

  03年に引退したコンコルド同様、少なくとも当初は超音速での飛行は海上に限られるだろう。大半の新興企業が力を注いでいるのがテクノロジーそのものであり、米国の本土上空を超音速旅客機が飛ぶことを禁止した44年前からある規制の緩和ではない。米国以外で禁じられているのは「不愉快」な騒音で、旅客機が超音速で飛ぶことではない。ソニックブームは、本土上空での超音速旅客機の飛行を米連邦航空局(FAA)が段階的に認めるの十分な程度に静かになるだろうというのが業界内の一般的な見方だ。

5.騒音の程度

  NASAなどは音の波がソニックブームを形成するのを防ぐため、超音速機の形状と素材を調べている。NASAが報告書の中で目標としているのは60-65dBa(デシベルA=A特性音圧レベル)。つまり高速道路走行中の高級乗用車「アウディ」程度の騒音だ。コンコルドはその数倍の騒音と感じられる90dBaだった。

6.乗り心地の違い

  今の旅客機とあまり変らないだろう。超音速機は音速以下の旅客機より上空を飛ぶため、乱気流が少なく感じるようになるもしれない。

7.運賃

  最初は高額となりそうだ。高解像度のテレビと同じだ。だがいずれは値下がりする。ブームを共同創業したブレーク・ショール最高経営責任者(CEO)によれば、同社にとって当初の目標は運賃を今のビジネスクラス並みにすることだ。

8.なぜ今か

  業界が賭けているのは、コンコルドが開発された1960年代にはなかった素材科学やコンピューティングホースパワー、ダイナミックモデリング、ターボファンエンジン設計といったさまざまなテクノロジーだ。

9.資金源

  ブーム、それにボストンに本社を置くスパイクは試験飛行を通じて資金を集め、今は顧客からの注文を受け付けている。テキサスの富豪ロバート・バス氏が支援するアエリオンはエンジン技術でGEと協力。エアバスもアエリオンのパートナーとして契約。ブームは2018年に予定しているデモ飛行でGE製エンジンを使う。ゼネラル・ダイナミクスのガルフストリームやフランスのダッソー・アビアシオンなども超音速旅客機に関する調査を実施もしくは継続している。

10.離陸時期

  荷造りは当分お預けだ。NASAは16年の報告書で、25-35年の間に乗客90人を運べるビジネスジェットが導入されると予想。人口密集地上空での試験飛行を行うため超音速で飛ぶデモ機を建造するため23年末までに3億9000万ドル(約435億円)の予算を組んでいる。スパイクは今年10月、音速以下のSX-1.2デモ機の試験飛行を開始。19年の超音速飛行実験を目指しており、座席数18のS-512引き渡し予定は23年だ。40人乗りは30年頃に開発される可能性がある。ブームは来年XB-1デモ機を飛ばし、55人が乗れる超音速機を「20年代前半」に引き渡す準備をしているという。航空会社5社から計76機の注文を受けているとしているが、発注元は開示していない。
原題:Why Am I Not Flying on Supersonic Jets?: QuickTake Q&A(抜粋)

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