ダビンチの「救世主」、史上最高の500億円超で落札-真贋論争尻目に
James Tarmy-
古典絵画には修復必要-修復者の手で再生されるとディーラー側
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ホンダの新車と1965年のフェラーリ、スペック比較できないのと同様
レオナルド・ダビンチの絵画「サルバトール・ムンディ」(救世主)が15日、ニューヨークでクリスティーズの開いたオークションで美術作品の過去最高額となる4億5000万ドル(約505億円)で落札された。
競売前から贋作(がんさく)ではないかとの疑問が呈されていた作品で、「ニューヨーク」誌のジェリー・サルツ氏はオークションの前日、「美術史家でも大画家の専門家でもない私だが一目見て、レオナルドの作品ではないと分かる」と記していた。

「サルバトール・ムンディ」
落札者は偽物に大金をはたいてしまったのだろうか。英国の古典絵画ディーラー、チャールズ・ベディントン氏は「大半の関係者は本物のレオナルドだと考えている。『巨匠の作品を知らない』と言い訳しながらレオナルドではないと思うなどとする批判は公表に値しない」と断じた。
ベディントン氏は、このレオナルド作品は「大掛かりな修復」が必要だったとも指摘。ロンドンでギャラリーを経営するラファエル・バルス氏は全ての古典絵画は修復の専門家の手で再生されるものだと話す。

絵画の細部
ディーラーによれば、贋作だと主張する人々は現代アートの判断基準を古典絵画に単純に当てはめているだけだ。つまりホンダの新車と1965年のフェラーリのスペックを比べているようなものなのだという。
ディーラーの1人、ジョニー・ファンヘフテン氏は、古典絵画の買い手にとって問題となるのは、その絵画が「正真正銘」であるかどうかということではなく、どの程度オリジナルなのかということだと語る。「巨匠作品の大半にとって、コンディションが極めて重要視される」のだそうだ。

この絵画の白黒写真(1904年に確認された)
イエス・キリストの肖像画であるこの作品は、1500年頃に描かれたとされている。

絵画の細部
原題:Why Are Critics Calling the $450 Million Leonardo Painting Fake?(抜粋)