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業界の未来占うたばこ増税-来年度改正で加熱式の税率引き上げ検討へ

  • 法律で加熱式を新たに定義、各社間の税格差縮小し、不平等感解消
  • 紙巻きたばこの増税に併せ大幅に低い税率見直し-軽減税率の財源に

来年度税制改正の焦点として浮上しているたばこ税の行方を業界が注視している。紙巻きたばこに加え、業界の将来を担う加熱式たばこの増税も議題に上っているからだ。世界で需要が最も高い日本での制度見直しは海外市場にも影響を与える可能性をはらむ。消費者への負担増につながるとして慎重論も根強い中、自民党税制調査会は22日に総会を開き、議論を本格化する。

  世界中で喫煙率が低下する中、たばこ業界はたばこ葉を燃焼させずに加熱し、ニコチンを摂取できる次世代製品にシフトしている。中でも日本市場が突出しており、調査会社の英ユーロモニター・インターナショナルによると、2016年に世界の加熱式機器専用たばこの売上高の90%以上を占めた。同社は日本が今後も市場をけん引し、20年には市場規模が16年に比べ4倍の約9000億円に達すると予想する。

  日本で加熱式たばこを販売している主要会社は米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)と日本たばこ産業(JT)の3社。PMIは昨春、BATは今年10月から全国販売を開始した。JTは今年6月に都内で参入し、来年上半期から全国展開する。

  しかし、各社製品にかかる課税額には幅がある。税法上、加熱式たばこは「パイプたばこ」に分類されており、税額は使用される葉タバコ1グラムにつき紙巻きたばこの税率1本当たり12.2円と換算される。加熱式の場合、葉タバコの使用量が製品によって異なるからだ。

Tax Drag

  政府・与党は加熱式たばこで目立つ課税額の不平等感の緩和を目指している。政府関係者によると、たばこ税法上に従量税を基本とした加熱式たばこの新たな税制を盛り込む方向で調整する。各社間の税額差を縮小するとともに、紙巻きたばこより大幅に低い税率を引き上げる方針だ。財務省は詳細についてコメントを控えた。

  欧州連合(EU)では、たばこ製品にかかる物品税を紙巻きたばこと他の製品に区別している。欧州委員会(EC)は加熱式たばこの取り扱いについて検討しており、来春までに公表する予定だ。米国では加熱式たばこに対する連邦税はなく、7つの州や幾つかの市町村の一部などで個別に課税されている。

  米証券会社ジェフリーズのアナリストのオーウェン・ベネット氏は「現在、日本で起こっている動きは、世界の市場予想に影響を与える」と述べた上で、日本が加熱式たばこに課す税が「業界の将来を占う重要なカギとなる」との見方を示した。

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ブリティッシュ・アメリカン・タバコのglo

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

たばこ議連

  与党内でも増税に難色を示す声がある。自民党のたばこ議連や次世代たばこ研究会に所属する岩屋毅衆院議員は15日のインタビューで、加熱式たばこは喫煙者の健康面や受動喫煙の観点から「被害の少ない製品」とし、「市民権を得られるように応援すべきだ」と主張。「加熱式たばこ人口が増えているから増税するというのは理屈が通らない」と批判した。

  公明党の斉藤鉄夫税調会長も7日のインタビューで、加熱式たばこは日本での販売開始から間もないことから、抜本的な税制の見直しは「もう1-2年様子を見てから決めても遅くない。その方が市場や実態に合った課税方式になる」と語っていた。

  岩屋氏は紙巻きたばこについても「嗜好(しこう)品の税負担をどんどん引き上げるような懲罰的な増税は避けるべきだ」と述べ、仮に引き上げるとしても「せいぜい1本1円だ」と訴えた。一方で、公明党は健康面から紙巻きたばこの増税に前向きだ。斉藤氏は来年度一気に3-4円引き上げるべきだとの考えを示した。

  たばこ税収は国・地方合わせて年間2兆円を上回る。19年10月に予定されている消費税率10%への引き上げ時に導入する軽減税率の財源確保もたばこ増税の狙いの一つ。必要な財源は1兆円とされ、うち約6000億円はまだめどがついていない。与党は来月14日にも税制改正大綱を取りまとめる。

IQOS

  
  PMIが日本でいち早く販売開始した加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」。同機器専用たばこ、ヒートスティックの売り上げは日本のたばこ市場全体の約12%を占め、競合社間でトップを誇る。一方で、葉タバコの分量に比例した税額は一番高く、増税の影響は大きい。同社は健康面に配慮し、紙巻きたばこからの移行を奨励することに重点を置くべきとの立場だ。

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国内シェアトップのIQOS

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  日本の紙巻きたばこ市場の6割を占めるJTも新製品「プルーム・テック」で追い込みをかける。同社の製品に含まれる葉タバコは他社製品に比べて少なく、課税額は格段に低い。JTの小泉光臣社長は21日の記者会見で、「加熱式たばこは後塵(こうじん)を拝している」とした上で、「急激で大幅な増税は消費者が大変迷惑がかかるため反対してきた」と述べた。

  ユーロモニターのたばこ担当アナリスト、イヴァン・ジェノブ氏はブルームバーグに対し、たとえ税率が上がっても、業界の将来の成長を担う製品は紙巻きたばこではなく加熱式たばこだと語った。
  

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日本たばこの産業の新製品「プルーム・テック」

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
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