東芝が6000億円の第三者割当で債務超過解消へ、旧村上F筆頭株主

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  • 3Dオポチュニティーなど海外ファンド約60社が引き受けへ
  • 希薄化率は約54%、臨時株主総会開かず、東芝メモリの売却も推進へ

Masayoshi Hirata, corporate executive vice president and chief financial officer of Toshiba Corp., arrives at a news conference in Tokyo.

Photographer: Akio Kon/Bloomberg
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

東芝は19日開催の取締役会で6000億円の増資を決議した。2018年3月末段階で債務超過を脱しなければ上場廃止となる恐れがあったため、半導体メモリー事業売却完了の有無にかかわらず、財務体質改善を目指し万全を期す。増資をてこに収益力の強化にも力を入れる方針だ。

  増資は普通株式で行い、ケイマン諸島に籍を置く3Dオポチュニティーなどの海外投資ファンドや旧村上ファンド出身者が設立したエフィッシモ・キャピタル・マネジメントなどの「物言う投資家」を含む約60社が引き受ける計画。増資後の筆頭株主はエフィッシモCとなる予定で、議決権の11.34%を有する見込み。

  発表資料によると、発行する新株式数は22億8310万5000株で、発行済み株式総数の約54%に相当し、相当程度の希薄化が生じると見込んでいる。17日時点の東芝の株価は292円で、時価総額は約1兆2400億円だった。発行価格は1株につき262.8円、払い込み期間は12月5日から8日。

  東芝は上場廃止の回避策として、公募増資や優先株などさまざまな資金調達方法を検討してきたが、調達金額の確実性や調達の機動性などから、海外投資家への第三者割当増資という今回のスキームを採用した。2018年3月末で7500億円を見込んでいた債務超過は、今回の調達により約900億円のプラスに転じるとしている。

売り買い交錯

  増資発表を受けた20日の東芝株は売り買い交錯の中、前週末比4.5%安の279円で午前の取引を終了した。東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは、希薄化は大きいが、債務超過解消、自己資本増強などが先行的に評価される可能性はあるなどと指摘。発行価格の262.8円で収れんしやすい構造だと分析している。

  調達資金は巨額損失を計上して破綻した米原発事業に関する親会社保証の早期弁済などに充てる予定。18年3月までに弁済を完了できれば、法人税の負担軽減により少なくとも2400億円の株主資本の増額効果があるという。東芝の監査委員が必要性や相当性を認めたため、臨時株主総会を開く必要はないとしている。

  東芝は上場廃止基準である2年連続の債務超過を回避するため、来年3月末までに「東芝メモリ」を2兆円程度で米ベインキャピタルが主導する日米韓連合に売却することを9月に決定。しかし、関係国の独占禁止法当局の審査手続き次第で売却完了が遅れる可能性があった。今回の増資後も東芝メモリの売却手続きは進める。

  東芝は今回の増資を受け「新生東芝」として社会インフラを核に、エネルギー、電子デバイス、デジタルソリューションの4つの事業領域に注力する方針だ。各事業領域で収益基盤を強化、安定的な成長の実現により毀損(きそん)した財務基盤の回復を目指す。

  BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、年度内に東芝メモリ売却が完了できない可能性に対応した措置としてプラスに評価。ただ「いま増資するメリットが見えない」とも指摘した。中長期的には米液化天然ガス(LNG)事業で抱える最大約1兆円の損失発生リスクの具現化懸念もあり「決して安泰ではない」と述べた。

(最終段落にアナリストの見方を追加しました.)
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