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【インサイト】アジアの航空会社、再びヘッジに動く-原油価格上昇で

石油価格の急騰が収益性に影を落とす中、アジアの航空会社は燃料ヘッジの見直しを迫られそうだ。 原油価格が過去平均の半分にまで低下していたため、これまで多くの航空会社がヘッジを縮小していた。 搭乗率が低く厳しい競争環境にあって、多くの航空会社は運賃コストを乗客に転嫁しづらい状況に直面している。

・ヘッジしていない中国の航空会社が最も脆弱

  過去数年間、原油価格の低下を受けてほとんどのアジア航空会社が燃料ヘッジを縮小または撤廃してきたが、足元で燃料価格が上昇しており、すでに悪化している利益率がさらに圧迫される恐れがある。 中国本土の航空会社はノンヘッジ政策を採用しているため、原油価格上昇に対して最も脆弱である。 香港のキャセイパシフィック航空は、高価格を維持することでヘッジによる損失を減らすことができる。 原油価格がさらに上昇して低下の見通しが立たなければ、航空各社は2018年のヘッジ政策の見直しを検討するだろう。

  過去にヘッジによる損失が発生したことや、これまで石油価格上昇の懸念が小さかったことから、ほとんどのアジア航空会社が燃料ヘッジに消極的だった。 より積極的なヘッジ策を採る航空会社が、原油価格上昇による影響を緩和できるだろう。ただし、利益率への不透明感は依然残る。

アジアの航空会社の燃料ヘッジ状況

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・競争が激しく、乗客への価格転嫁は難しい

  今後数四半期は原油価格上昇による燃料費増加が予想されるため、アジアの航空会社の費用は増加が見込まれる。 過去2年間、アジアのほとんどの航空会社は原油価格低下に伴う燃料価格低下の恩恵を受けていたが、足元では利益率悪化の可能性がある。競争の熾烈化と搭乗率が低い状況から、費用上昇分を運賃に転嫁するのは難しい。 また、燃料以外の費用は相対的に固定されているため、利益率改善の余地は乏しい。

  ANAホールディングス、ヴァージン・オーストラリア、日本航空、エア・ニュージーランド、カンタス航空の総費用に占める燃料費比率は低い。そのため、競合先に比べて原油価格上昇分を吸収しやすいだろう。 LCCのエアアジアは燃料費比率が最も高いが、積極的なヘッジ政策で対応している。

アジアの航空会社の燃料コスト

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・原油価格に追随してジェット燃料価格が上昇

  ジェット燃料価格は低水準だった6月から24%上昇しており、2018年にはさらなる上昇が見込まれる。需給が引き締まる中、主要石油輸出国であるサウジアラビアの政治的要因により、この4カ月間で原油価格は30%超上昇、11月9日には1バレル63ドルで取引された。供給における混乱や地政学的リスクが最近の原油価格上昇の背景にある。 世界の原油価格上昇がさらに続くかは、2018年までのOPECとロシアの生産量削減方針の延長次第だ。

  原油価格の高騰とコンタンゴ(順鞘)の状態を見てシェール生産者が米国の原油生産量を引き上げれば、来年の価格上昇が抑制される可能性もある。

シンガポールのジェット燃料価格

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原文の英字記事はこちらをクリック
Asia Airlines Will Revisit Fuel Hedges as Oil Threatens Profits

レポートについてのアナリストへの問い合わせ先:
シンガポール Rahul Kapoor rkapoor53@bloomberg.net
翻訳者への問い合わせ先:
香港 Fumiko Nakayama:fnakayama2@bloomberg.net

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