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経産省:石炭スポット取引拡大に向け検討を開始-非公開会議で

  • JERA、新日鉄、三井物産、みずほ銀などを集め研究会を発足
  • 来年2月に中間取りまとめ案を検討する-石炭マーケット研究会資料

経済産業省は海外から調達する石炭について、現在主流となっている長期取引からスポット・短期取引に移行する必要性について検討を始めた。液化天然ガス(LNG)では既にスポット・短期取引重視の方針を打ち出しており、石炭についても調達の機動性・柔軟性向上の可能性を探る。

  経産省は、東京電力ホールディングスと中部電力の共同出資会社であるJERA(ジェラ)、東北電力、新日鉄住金、JFEスチールといった石炭の大口の買い手や三井物産などの商社、官民の金融機関などを集めた「石炭マーケット研究会」の初会合を10日に非公開で開催した。

  ブルームバーグが入手した同会合の資料によると、石炭市場における課題などを話し合い、来年2月の会合で中間取りまとめ案を検討、その後、最終的な報告書を発表する予定になっている。

  LNGについて経産省は昨年発表した「LNG市場戦略」の中で、流動性の高い市場を発展させるために、長期契約からスポット・短期取引への移行や余剰分のLNGの転売を制限する仕向け地条項の緩和・撤廃の必要性を指摘。石炭についても輸入量で世界有数の日本がスポット取引に重点を移せば、長期が主流である取引慣行に一石を投じることになる。

  経産省は、研究会資料の中で石炭の「現在のスポット取引の規模は小さく、一国の政策動向や需給動向による価格変動リスクが高くなっている」と説明。その上で、「スポット取引・市場を拡大し、需給動向を適切に反映した価格指標を作り上げていくことが必要ではないか」としている。さらにスポット取引の規模拡大の障害になっている制約要因の一つとして、石炭の仕向け地制限を挙げている。

LNG取引では変化の兆し

  LNGについては経産省が昨年5月に市場戦略を発表した後、7月には公正取引委員会が転売制限について調査を開始。公取委は今年6月、LNG取引において仕向け地条項を規定することは独占禁止法違反になる可能性があるとする報告書をまとめた。

  LNGは、オーストラリアや米国で多くの新規プロジェクトが立ち上がり、大量の供給が見込まれるため、市場では買い手が有利とされている。9月にインドの輸入大手ペトロネットLNGが長期契約価格を再交渉で値下げすることに成功したり、10月にはJERAが仕向け地条項がないとみられる契約をマレーシアLNGと結んだりするなど、LNG取引では徐々に変化の兆しがある。

  一方、石炭業界ではメジャーによる鉱山の寡占化が進んでおり、売り手側から契約の柔軟性向上のための譲歩を引き出すのはLNGよりも一層困難な可能性がある。経産省の研究会資料によると、発電用燃料として使われる一般炭を多く産出する豪州では、7月に新たな権益取得を発表したスイスの資源商社グレンコアの一般炭輸出に占めるシェアが3%程度上昇し29%となる見込み。

寡占化で価格交渉に支障も

  同資料によると、日本は一般炭契約の約9割が1年以上の長期契約。長期契約では一般的にグレンコアと東北電が相対交渉で合意した価格が指標となり、アジアの他の企業も同水準の価格を適用する。経産省は資料の中で、「日本は一般炭輸入量の76%を豪州に依存しており、今後も寡占化が進めば価格交渉で支障が生じる恐れがある」と危機感をあらわにする。

  製鉄の原料として使われる原料炭においても同様に、「寡占化に伴い、石炭メジャーの発言力が増している」と経産省は分析する。一方、中国で昨年、炭鉱の操業が制限された後に、「石炭調達ができなかった一部の中国企業がスポット市場に殺到し、パニック買いしたこと等により、スポット価格の急な上昇を招いた」とし、「価格指標の脆弱(ぜいじゃく)性」の問題を指摘した。

  経産省は資料の中で、中国の生産制限による価格高騰を踏まえ、「原料炭においても一般炭と同様のスポット市場の改善や取引の拡大が必要ではないか」と提言している。

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