グーグル、ハードウェアへのAI搭載でアマゾンとアップルに対抗
グーグルはアマゾンとアップルに対抗すべく、スマートフォンの「ピクセル」、カメラ、ラップトップPC、クラウドサービス、デジタルアシスタントへの人工知能(AI)統合を推し進めている。ハードウェアのシェア拡大には時間を要するだろう。しかしAIで先行することで、グーグルクラウドの普及に拍車が掛かるかもしれない。

ハードウェアによってグーグル中核事業のコントロール力が高まる
グーグルが新たに発表したAI統合型のハードウェア製品によって、長期的にグーグルのエコシステムのコントロール力が強まり、ターゲッティング広告の精度向上ならびにトラフィック獲得コスト(TAC)の低減が進むと考えられる。グーグルの主な収入源は広告(純売上高の85%)だが、アップルを含む提携先へのトラフィック獲得コストが収入を上回る勢いで増加している。ハードウェアのシェアが拡大すればこれらのコストが低減し、データコントロール力が増すことで広告収入や料金の適正化が促されるだろう。

  グーグルアシスタントは、スマートスピーカーの「グーグルホーム」、スマートフォンの「ピクセル」、スマートカメラの「クリップ」、ノートPCの「ピクセルブック」など、同社のすべてのハードウェア製品に搭載される見通しだ。アルファベットはグーグルのハードウェア収入を、クラウドサービスやPlayストア他の収入とともにグーグル その他セグメントに計上している。

グーグル その他 の売上高成長率の推移

「グーグルホーム」新製品はアマゾンの「エコー」に対抗するが、アマゾンに痛手はない
「グーグルホーム」スピーカーの新製品はアマゾンの「エコー」に対抗するものの、アマゾンの戦略に影響を与えることはないと考えられる。アマゾンが「エコー」を提供する主な理由は、オンラインショッピングの簡素化である。従来、グーグルとアップルのプラットフォームは他のデベロッパーに公開されている。そのため、ホームスピーカーの普及が進めば、アマゾンは最終的にユーザーをショッピングサービスに取り込むことができる。これはiOSやアンドロイド向けアプリを通じた販売と似ている。

  アマゾンは物流、配送、プライムサービスに強みがあるため、ユーザーが「エコー」を選好せず他の端末を使ったとしても、顧客離れを懸念する必要はないだろう。米調査会社のeMarketerによれば、米国におけるアマゾン「エコー」ユーザー数は2500万、「グーグルホーム」は850万である。

バーチャルホームアシスタントの出荷は拡大傾向

AI搭載によるグーグルクラウドのシェア拡大が見込まれる
アマゾンウエブサービス(AWS)およびマイクロソフトのクラウドサービス「Azure(アジュール)」との競争はあるが、グーグルクラウド・プラットフォームはAI統合による差別化を図ることで、アルファベットの売上高増加に貢献するだろう。米調査会社のガートナーによれば、エンドユーザー向けインターネット・アズ・ア・サービス(IaaS)の世界投資額は2020年には720億ドルに達する見通しだ。これは短期的に競合先も共に成長することを意味する。マーケットリーダーであるアマゾンウェブサービスの2016年の投資額は120億ドルだった。グーグルクラウドのシニアバイスプレジデント、ダイアン・グリーン氏は2022年にはアマゾンウェブサービスを追い越せるだろうと述べた。

  グーグルのオープンソース機械学習フレームワーク「TensorFlow」は、デベロッパーによる業界標準としての採用に伴い、同社クラウドへの集客の役割を発揮するだろう。「TensorFlow」は様々なクラウドプロバイダーを扱うが、グーグルの幅広いデータ、力強いAIの取り込み、そして最適化されたハードウェアが差別化のカギとなる。

パブリッククラウド投資と グーグル その他 の売上高成長率

原題:Google Takes on Apple, Amazon Clout by Using AI to Sell Hardware

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