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バンカー出身のパウエル氏、実はもっとタカ派か-過去の例から類推

  • 次期FRB議長の地味な人柄にウォール街は手掛かり得ようと躍起
  • 極め付きの資産家、大方の報道よりもずっと裕福な可能性も

トランプ米大統領が連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長にジェローム・パウエル理事を正式に指名して以降、パウエル氏がどのようなタイプの議長になるか手掛かりを得ようと、ウォール街などの関係者は同氏の経歴をくまなく調べている。

  分かっているのは、パウエル氏はコンセンサスづくりに重点を置く性格の人物であるということだ。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は「ミスター普通」と呼んだ。同氏はバンカー、投資家、政策当局者として金融市場に長年関与してきたが、エコノミストではない。そして、極め付きの資産家だ。

  パウエル氏が地味な人柄であることからFRB議長としてどのように振る舞うかほとんどヒントが見つからないとの指摘もあるが、もっと掘り下げる余地はある。まず、「ミスター普通」であることについて、ジョンズ・ホプキンス大学のローレンス・ボール教授(経済学)は、性格の重要性を指摘する。

  バーナンキ元FRB議長らの性格特性と、当局者としての有効性について論文を記したボール氏は、バーナンキ氏の場合、内気な性格によって金融危機の到来を察知するのが妨げられ、もっと早急に行動することにも支障が生じたと指摘する。パウエル氏も同様に、中道派としての傾向が懸念されるという。ボール氏は、米金融当局はその性格上、人々を中道に引き寄せる力が働く連邦機関であるとし、「力強さが大切。金融当局はもっと一匹おおかみを登用してもよいのではないか」と話す。
  
  金利政策を巡っても、パウエル氏はトランプ大統領らが考えるほどハト派ではないかもしれない。同氏は6月に利上げ継続の必要性を語った。同氏はFRB理事に就任して間もなく、バーナンキ議長(当時)に量的緩和(QE)の債券購入プログラムに上限を設けたり、期限を設定したりするよう強く働き掛けたことがある。

  さらに、過去を振り返ると、バンカーや最高経営責任者(CEO)出身のFRB議長は、エコノミスト出身者よりも金利を高めに保つ傾向がある。元バンカーとして1951-70年にFRBを率いた故ウィリアム・マクチェスニー・マーティン氏は、近現代で最も成功を収めた議長の1人と目されているが、タカ派でならした人物だ。

  パウエル氏がエコノミストの経歴を持たないことに関しても、同氏が簡素な言葉でコミュニケーションすることを意味するなら、プラスだとする見方もある。米金融当局の声明は過去20年間に従来よりも長く、そして複雑になった。スタンディッシュ・メロン・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は「米金融当局がコミュニケーションで問題を抱えているのは明らかだ」と認め、「当局の政策をワシントンや世界全体に説明することができるエコノミストではない人物は貴重だ」と論じた。

  ウォール街のトップクラスのバンカーや、プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社カーライル・グループでディールメーカーだったパウエル氏は、一般的な認識よりもずっと裕福な可能性がある。同氏の資産については最大5500万ドル(約62億円)とする報道が大半だが、同氏の最新の資産公開ではバンガード・トータル・ストック・マーケット指数ファンドから、過去1年に最大100万ドルの所得があったことが示された。ファンドの持ち分を踏まえれば、総資産額は1億1200万ドル余りに上る可能性がある。同氏はこの記事へのコメントを控えている。

(ブルームバーグ・ビジネスウィーク誌に掲載の記事です)

原題:Can Jerome Powell Run the Fed for the People?(抜粋)

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