米アップルが起債へ、自社株買いや配当支払いの資金調達で
Molly Smith-
6本建てで起債、自社株買いや配当支払いの資金に充当へ
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アップルの起債、米税制改革法案の先行き不透明感を浮き彫りに


米アップルは6日、自社株買いや配当支払いの資金を調達するため70億ドル(約8000億円)の起債を実施した。提案されている税制改革が実現すれば、以前なら利用できなかった大量の資金が本国に還流する可能性があるにもかかわらずだ。
アップルは6本建てで起債した。ブルームバーグの集計データによると、同社は金融機関以外では今年、AT&Tに続いて2番目に活発に債券を発行している米企業。同社広報担当のクリスティン・ユゲ氏に取材を試みたが返答はない。
米企業が海外留保利益を本国に還流させる場合の税率は現在35%だが、米下院共和党が先に公表した税制改革法案ではこれが最高12%になる。テクノロジー業界や医薬品業界などでは海外に資金を留保する企業が多いが、税制改革が実現すれば多額の資金を海外に滞留させる必要もなく最終的に利用できるようになる。このことは、アップルが資金調達する必要のない状況で起債している可能性を意味するが、同時に企業や投資家の間に広がる米税制改革法案の先行き不透明感を浮き彫りにしている。
ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)が決算発表に関する電話会議で明らかにしたところによれば、9月末時点の現金預金および有価証券は2689億ドルで、そのうち94%は米国外に置いていた。

アップルは2019年3月末までに株主に3000億ドルを還元するプログラムを実施中で、現時点で4分の3余り進んだ状況にある。
関係者によると、起債の幹事はバンク・オブ・アメリカ(BofA)、ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェースが務めた。

原題:Apple Borrows $7 Billion Even as Tax Laws May Fill Cash Coffers(抜粋)