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GPIF:7-9月の運用益4.5兆円、リスク資産好調で5期連続黒字

  • 9月末の運用資産残高は156兆8177億円と3四半期連続で過去最高
  • 資産構成比率、外株は過去最高の24.03%と目標値25%に迫る

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2017年度第2四半期(7-9月期)収益額は4兆4517億円と、5四半期連続の黒字となった。国内外での株高と対ユーロでの円安がリスク性資産に追い風となった。

  GPIFが2日公表した7-9月期の運用状況によると、収益率は2.97%。9月末の運用資産残高は156兆8177億円と3四半期連続で過去最高を更新した。前身の年金資金運用基金として市場運用を始めた2001年度からの累積収益も62兆9272億円と最高を更新した。

  資産別の収益額と収益率では、国内株が1兆7959億円と4.79%、外株は2兆349億円で5.55%だった。外債は米欧金利はほぼ横ばいだったが、円安・ユーロ高が円換算額を押し上げた結果、5399億円で2.49%。長期金利がわずかに低下した国内債は748億円で0.16%と5四半期ぶりに運用益を計上した。

  7-9月期はトランプ米政権による景気刺激策への期待が一段と後退する一方、世界的な景気回復を背景とした株高基調は継続。北朝鮮を巡る地政学的リスクの影響は限られ、米国に続いて欧州も金融正常化に向かうとの観測からユーロ高が進んだ。GPIFはESG(環境・社会・ガバナンス)の要素を重視した国内株のパッシブ運用を1兆円規模で開始した。

 

5四半期連続で運用益を計上

  GPIFの高橋則広理事長は資料に掲載したあいさつで、7-9月期は「内外の堅調な経済指標、良好な企業業績が継続したことに加え、日銀の金融緩和が継続される中で、FRBの景気に配慮した金融政策正常化への信頼感から、世界的に資産価格が上昇した」と説明した。

  国内債が年金特別会計管理の資金を含めた積立金全体に対する割合は9月末に28.50%と目標値の35%を大幅に下回り、過去最低を更新。一方、国内株は24.35%、外株は過去最高の24.03%となり、目標値の25%に迫った。外債は14.02%と最高を記録。短期資産は過去最高の9.10%だった。

  全体の5%を上限とするインフラ投資やプライベートエクイティ(PE、未公開株)、不動産などのオルタナティブ(代替)投資は0. 10%に増えた。

  公的年金制度は高齢化で膨張する給付額を現役世代からの保険料や税金だけでは賄い切れず、その1割前後をGPIFからの拠出に依存。給付の減額や保険料のさらなる引き上げは困難で、GPIFは年金財政の持続可能性を保つのに必要な運用益を長期的に稼ぐことが使命だ。市場運用開始から9月末までの16年半の収益率は年3.20%となっている。

  りそな銀行アセットマネジメント部の黒瀬浩一チーフ・マーケット・ストラテジストは「国内株価が急ピッチで上昇する一方、外株や外債の評価額も上がっているため、GPIFがリバランス目的で日本株を売るような状況ではない」と指摘。SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは「日本銀行の異次元緩和が債券価格を無理に押し上げているので、長い目で見ると国内債への投資にはリスクがある」と述べた。

  日本株の運用指標であるTOPIXは9月末に1674.75と6月末から3.9%、MSCIコクサイ指数は円換算で4.75%上昇。米国債の10年物利回りは2.33%と3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上げた。円相場は対ドルでは112円51銭と12銭の下げにとどまったが、ユーロに対しては1ユーロ=132円92銭と4円52銭下落。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは1.5bp低い0.06%だった。

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