片岡氏の新たな主張は「量的緩和の限界を露呈」との見方も-日銀会合

  • 具体的な緩和策提案は見送り、記者会見では同委員の主張に質問なし
  • リフレ派論客も「安易に曲芸飛行できない」-第一生命研・熊野氏

黒田総裁

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

日本銀行の金融政策決定会合は予想通り無風に終わった。片岡剛士審議委員が追加緩和を提案するかどうかに注目が集まったが、反対理由を列挙するにとどまった。エコノミストの間では、リフレ派の限界との声も出ている。

  片岡委員は前回同様、現行の長短金利操作に反対はしたが、追加緩和の提案は行わなかった。反対理由として「15 年物国債金利が0.2%未満で推移するよう、長期国債の買い入れを行うことが適当」、国内要因により物価目標の達成時期が後ずれする場合は「追加緩和手段を講じることが適当」と指摘するにとどめた。会合後の黒田東彦総裁の記者会見では同委員の主張について質問は出なかった。

  BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは会合後のリポートで、議決を要する提案を行わなかったのは「否決されるのが明白だからということもある」と指摘。今後も片岡委員は現状維持に反対を続けると見られるが、「少なくとも需給ギャップの改善が続く限り、同調者は出ない」との見方を示した。

  緩和手段としてマネーの量の拡大を重視するリフレ派の片岡委員が、量の拡大ではなく金利を対象とした緩和策が適当と主張したことに首をかしげる向きもある。バークレイズ証券の山川哲史チーフエコノミストはリポートで、同委員の主張は「長短金利操作の対象年限を延伸するものにすぎない」と指摘し、量的緩和の「物理的限界を自ら露呈するもの」と分析した。

  片岡委員は初めて出席した9月会合で現緩和策が不十分として反対。消費者物価が「2%に向けて上昇率を高めていく」との見通しも可能性は低いと批判した。会合後に発言者を特定せずに公表される「主な意見」では「追加金融緩和によって総需要を一段と刺激することが必要」との発言も出ており、今会合では具体的な提案が行われるとの見方も強かった。

  第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストはリポートで、片岡委員が現行の長短金利操作の枠組みに沿った主張をしたことから「他のリフレ委員と同じく、金利コントロールの枠組みに賛成せざるを得なかった」とし、「今以上の量的拡大について片岡委員が断念した結果」と説明。

  「リフレ派の論客といえども、金融政策のコックピットの中で操縦かんを動かそうとすると、それほど安易に曲芸飛行はできない」とした上で、「黒田路線がリフレ政策の実務的な限界ライン」との見方を示した。

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