神戸製鋼:通期純損益予想を未定に、中間配当は無配-データ改ざん問題

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  • 顧客への補償費用など業績悪化要因の影響を見通すことが困難
  • 損失拡大の可能性にも備えて資金ねん出には引き続き取り組む
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

神戸製鋼所は30日、今期(2018年3月期)の連結純損益見通しを撤回すると発表した。アルミニウムや銅製品などの一連の検査データ改ざん問題により、顧客への補償費用などの負担がどの程度生じるのか現時点では見積もることが困難なため。

  従来は350億円の黒字(17年3月期は230億円の赤字)としていた純損益予想を「未定」へと変更。1株当たり10円を計画していた中間配当金の支払いを見送ることも発表した。中間配当の無配は2期連続となる。

  同日都内で記者会見した梅原尚人副社長は「部品交換費用や顧客による安全性の技術検証にかかった費用など今後請求を受ける可能性がある」として、それらを特別損失に計上する予定だと述べた。具体的な金額については「現時点では読めない」と説明した。

  通期の経常利益は従来予想の550億円から500億円(前期は191億円の赤字)へと下方修正した。データ改ざん問題を受けて、アルミ・銅事業での品質管理の適正化に伴う生産効率の悪化などによるコスト増や一部製品の出荷停止による生産量減少に加えて、鉄鋼事業でも顧客からの注文が他社に流れることなども想定して計100億円の減益要因を織り込んだ。

  データ改ざん製品の納入を受けた複数の企業はすでに神戸鋼に対して部品の交換費用を請求している。川崎重工業の金花芳則社長も27日の決算会見で、顧客から求められた部品交換費用は神戸鋼に請求する意向を表明した。川崎重が製造する航空機の部品やエンジン、新幹線の部品などに神戸鋼のデータ改ざん製品が使用されていた。

損失額は「全く想定できず」

  神戸鋼は17年3月期まで2期連続の最終赤字だった。鉄鋼市況の悪化や中国での建設機械事業で損失を計上したことが響いた。鉄鋼市況の改善や中国の建機需要の回復を見込み、今期は3期ぶりの黒字転換を計画していた。今期の赤字転落の可能性について梅原副社長は「現時点で具体的に金額として見積もれるものでさほど多額なものがあるわけではないが、こればかりは全く想定できない」と述べた。

  一方、損失拡大の可能性にも備えて「資金のねん出は引き続き行っていきたい」との考えも示した。保有株式の売却や運転資金の効率化などを進める。取引行と約1200億円の融資枠(コミットメントライン)も設定しており、資金繰りに懸念はないとしている。

  JPモルガン証券の森和久アナリストは、米国自動車メーカーなどから契約違反部材に起因した損害賠償などの訴訟関連コストが発生するリスクはあるとみているが、金額については全く未知数だと指摘。具体的な金額が判明するまでは「不透明感は残るだろう」との見方を示す。

  部品交換コストや操業低下による損失、顧客の安全性検証作業の負担コストの合計を約500億円、訴訟関連コストを1000億円として総額1500億円の損失が発生すると仮定した場合、神戸鋼の株価理論値は30日の終値920円を上回る1150円程度になると試算する。

  森アナリストは「一定程度の顧客離れは避けられないだろうが、国内製造業向けで主要サプライヤーであり、今のところ事故につながる法令違反ではないことから、適切な再発防止策を講じれば中長期で顧客を維持することは可能」とも指摘。仮に1500億円規模の損失が発生したとしても、手元資金を十分に抱えていることに加え、資産売却を進めることなどで当面の資金繰り懸念は低いとみる。

(第7段落を追加します.)
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