元マングループ村上氏が日本株ヘッジファンド、1年300億円目指す

更新日時
Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg

上場ヘッジファンド世界最大のマン・グループで日本株アナリストを務めていた村上裕亮氏(32)が、市場の方向性に左右されにくい日本株ロング・ショート戦略の運用を11月から開始する。約80億円でスタートし、1年で300億円への拡大を目指す。

株価ボード

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  同氏は日本の独立系ヘッジファンド、シンプレクス・アセット・マネジメントでシニア・ポートフォリオ・マネージャーとして、個人富裕層や企業年金などから資金を集める。国内の上場企業が対象で、長期的に利益を生み出す優良企業のほか、短期的には1株利益(EPS)などファンダメンタルズが大きく変化する企業に積極的に投資する。投資銘柄数は買い持ち(ロング)と売り持ち(ショート)合わせて平均100銘柄程度。収益率は年15%、リスク同7.5%程度を目指す。

  村上氏は、優良な企業について「誰が首相でも、為替が円高でも、どんなに不況でも、自分の会社だけは成長し続けてやるという意思がある企業」と話す。日本では長期投資に企業価値を上げていく視点が欠け、「未成熟で進化がない」と指摘。長期的には「経営方針がぶれず、創業者が株主の企業が買い」と、かばん専門店サックスバーホールディングス、埼玉県を中心に展開するスーパーのヤオコー日本電産に注目している。

  短期投資の対象は「人々が熱狂するようなサービスや製品を作れる企業」と述べ、過去には「いきなりステーキ」のペッパーフードサービスを推奨していた。

  同氏は中期的には5年で運用残高1000億円を目指す。その後は、米小型株を運用対象にした新ファンドなど、今回のファンドと同じ銘柄選択の哲学を基に、複数の戦略・市場を組み合わせ30兆円ファンドを作ることも考えている。ただ、残高増の「難易度の上昇は身に染みている。預かり過ぎてリターンが出なくなる失敗は避けたい」とし、リターンが出なくなったら、出るようなサイズまで資金を投資家に返還するという。

マン時代は年15%

  同氏は大学在学時から株式投資を始め、リターンで学費や生活費を賄い、ゼミではウォーレン・バフェット氏の投資研究をしていた。卒業後は富裕層の資産管理会社で自己勘定トレーダーや、証券ディーラーなどを経て、2011年3月にニュースミス・キャピタル・パートナー(現マン・グループ)に入社。現在マンのシニアアドバイザーを務めるピエール・ラグランジュ氏らの下でトレーダーを1年半、アナリストを約4年務めた。

  村上氏がマン在籍時の13年1月から3年半で、推奨した銘柄によるポートフォリオのリターン(手数料控除後)は年率15%程度、累積では61.1%となった。ユーリカヘッジ指数では、同期間の世界のヘッジファンド平均は累積18.7%、日本平均は同37.6%だった。

  村上氏によると、ショートポジションからの超過収益が大きかったり、インターネット、特にゲームセクターからの収益への貢献が高かったという。同氏は証券会社のアナリストからどのゲームが面白いかインタビューを受ける程のゲーマーで、匿名のツイッターアカウントには約2万5000人のフォロワーがいた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE