イエレン議長が自問-2%インフレ目標達成への信認、弱まった可能性

  • インフレ期待下振れの可能性示す幾つかの兆候があると認める
  • それでも引き続きしっかりとつなぎ止められると確信とも発言

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、金融当局が2%のインフレ目標を達成することに対する信認が幾分弱まった可能性があるとの認識を公の場で漏らし始めている。トランプ大統領による指名がなければ、来年2月の任期満了に伴い退任する議長の発言としては異例の告白だ。

  イエレン議長は20日、ワシントンのナショナル・エコノミスト・クラブで講演し、「インフレ期待が下振れした可能性があるとの幾つかの兆候がある点を認めねばならない」と語った。議長はインフレ期待が引き続きしっかりとつなぎ止められ、当局の目標と合致していると信じているとしつつも、「これは当然視することができるものでも、そうすべきものでもない」と論じた。

  この発言は質問に答えたものではあるが、思いつきの見解表明ではない。それというのも、イエレン議長は15日、ワシントンで開かれた国際銀行セミナーでの講演で、主要先進国・地域でインフレ期待が低下したかどうかは「議論の余地がある」と話していたからだ。

  インフレ期待が実際に下振れしているとすれば、次期FRB議長に誰が就任することになっても難問を抱えることになりそうだ。インフレ期待は家計や企業の行動の在り方を方向付けて、インフレ率が現実にどこに落ち着くかを決める要素となる。米金融当局がインフレ目標達成に向けた信認を失えば、消費者はモノやサービスの値上げに抵抗感を示し、企業は賃上げを渋るようになるだろう。インフレ率が過去5年間の大半の時期にわたり、2%の目標を下回って推移している中で、こうした事態は悪循環につながり、インフレ加速を目指す当局の制約要因となる。

  スタンディッシュ・メロン・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、ビンセント・ラインハート氏は金融当局について、「問題を抱えている」と指摘した。

  イエレン議長がインフレ期待低下の可能性を指摘したからといって、当局が今年3回目となる利上げを見送ることはなさそうだ。当局者は10月31-11月1日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)では金利据え置きを決める見通しだが、フェデラルファンド(FF)金利先物市場の取引を踏まえると、投資家は12月の利上げ確率を約85%と織り込んでいる。

  一方で、インフレ期待を巡りイエレン議長が漏らした不安は、来年以降の米金融当局の戦略を方向付けることになる。当局の予想に反してインフレ率が伸び悩む場合は特にそうだ。当局者は9月に公表した経済予測で2018年について3回の利上げ予想を示した。12月のFOMCで新たな予測を公表する。

  ジョンズ・ホプキンス大学のジョナサン・ライト経済学教授は、米金融当局は12月に利上げした後、18年末までに3回ではなく「2回の追加利上げを見込むことになるのではないか」と話した。

原題:Yellen Wonders If Fed Inflation Credibility Dented on Her Watch(抜粋)

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