習氏、明確な後継候補の登用見送り-2期目に入り一段と権力強化

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  • 党政治局常務委の新メンバーは全員60代-50代の陳敏爾氏ら選ばれず
  • 後継者指名制度は踏襲されず、個人の力が動かすモデルに逆戻りも

中国共産党の習近平総書記(国家主席)は最高指導部である党政治局常務委員の新たな顔触れを披露した。自身の明確な後継候補とみられる人材は含まれず、党が四半世紀にわたって続けてきた後継者指名の人事制度は踏襲されなかった。習氏が2022年の任期終了後も権力の座にとどまることを目指す可能性が高まりつつある。

主なポイント

  • 習総書記は常務委員会で明確な後継候補を指名しなかったが、政治局員25人のうち3人は後継者となるのに十分若く、今後の昇格は見込める。
  • 習氏の経済分野での主要な助言役や外交責任者が政治局入り。こうした人材が同氏の2期目で一段と重要な役割を担うことが示唆された。
  • 政治局、常務委ともに習氏に近い人物が多く、円滑な政策実行への道が開かれた。

習近平総書記の右から時計回りで李克強、栗戦書、汪洋、王滬寧、趙楽際、韓正の各氏

Photographer: Bloomberg Photo

  共産党が25日発表した常務委員の中には、習氏が2期目(5年間)を終えた後に指導者としてその後の10年間を率いることができるだけの若手は入らなかった。昇格したのは栗戦書党中央弁公庁主任(67)、汪洋副首相(62)、王滬寧党中央政策研究室主任(62)、趙楽際党中央組織部長(60)、韓正上海市党委書記(63)の5人。習氏と李克強首相は留任。

  習総書記は北京で記者団を前に、「40年にわたる改革開放で中国国民はそこそこの、また快適とも言える生活が送れるようになった」とし、「中華民族の偉大な復興は現実のものになると、私は確信している」と述べた。

  新たな顔触れに加え、自身の地位向上につながる党規約改正で、習氏は今後数十年にわたって中国に影響力を振るう土台を築いた。同氏は18日の党大会開幕日の演説で、中国を2050年までに世界を主導する強国にするとのビジョンを示した。

  シカゴ大学の政治学者ダリ・ヤン氏は、「習氏は強い権力を握っているため、前任の指導者らが推す後継候補を受け入れる必要がない」と指摘。「今や争う余地のない指導者になったので、向こう5年間は過去5年より落ち着いた状況になるはずだ」と予想した。

  習氏側近で重慶市党委書記の陳敏爾(57)氏は政治局員に昇格し、広東省党委書記の胡春華(54)氏は政治局員に留任となった。このほか、党中央財経領導小組弁公室の劉鶴主任や中国外交トップである楊潔篪国務委員らが政治局入りした。

新たな常務委員を発表する習近平総書記

Source: Bloomberg)

  共産党が採用してきた後継者指名制度は中国の権力移譲の下支えとなってきた。党総書記が2期目の任期終了時に権力を譲る後継候補を1期目が終わるまでに特定しておく仕組みで、1989年の天安門事件後、鄧小平氏は安定確保を図ってこの制度の下で江沢民氏を指名した。習氏はまさに、その1期目を終えたばかりだ。

  習氏がいずれかの時点で後継者候補を選ぶ可能性はなお残っているが、25日の新メンバー発表からは、党の規範から外れ、中国を個人の力が動かすモデルへと逆戻りさせる意思がうかがえる。習氏はこれによって一段と権威を高めることになる。24日閉幕した党大会では、自身の名前を冠した政治思想を行動指針に盛り込んだ党規約の改正案が承認された。指導者名入りで党規約に入っている政治思想は、それまで毛沢東思想と鄧小平理論のみだった。

原題:Xi Strengthens Grip on Power, Naming No Heirs in New Leadership(抜粋)

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