【FRBウオッチ】金融政策が主導する巨大バブル、利上げで崩壊へ

  • 実体経済の超長期低落トレンド下、金融主導でバブル化
  • 追加利上げはバブル崩壊と景気後退入りを早めることに

雇用市場は強く、賃金の上昇に伴い低いインフレ率も来年には上昇に向かうというのが米金融当局の見解だが、トレンドに逆らっているように見える。

  非農業部門の雇用者数を前年比で見ると、2015年2月の2.3%増を今回の景気拡大局面のピークとして低下トレンドを続けてきており、直近9月には1.2%増に落ち込んだ。9月はハリケーンの影響で下振れしたものの、下降トレンドに沿った動きに変化はない。

  しかも、このトレンドは超長期低落トレンドのほんの一こまにすぎない。米国経済が製造業の衰退から金融主導型に転換する1980年代初めまでさかのぼると、景気循環を繰り返しながらも雇用減速トレンドが続いてきたことが見て取れる。米国の実体経済は金融が主導する中で長期的な減速軌道をたどってきたわけだ。

  この超長期低落トレンドは、経済の体温とも言うべき物価動向にも認められる。金融政策を決める米連邦公開市場委員会(FOMC)がインフレ目標の基準とする個人消費支出(PCE)価格指数の年間変動率と雇用の年間増減率を比べると一定の相関が見られる。

  労働市場も物価も長期低落トレンドを続けてきており、金融政策でこの構造変化の流れを変えることなどできない相談だ。それどころか、無理な金融緩和措置で貧富の差の拡大や実体経済から乖離(かいり)したバブルを醸成し続けるリスクが高い。

  米国の実体経済とインフレの超長期低落トレンドを背景に、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利も傾向的に水準を下げている。前世紀末から今世紀にかけては金融空間を象徴する株式市場が高騰し、FF金利と共振しながらバブルの膨張と崩壊を繰り返してきた。

  今回の景気拡大局面では、経済成長力の減退とインフレ率の鈍化を背景に、FF金利は極端に低い水準に抑制されてきた一方、株価の高騰は著しい。

  将来を見通す上で、注目すべき点はIT株式バブルと住宅金融バブルの崩壊過程である。いずれもFOMCが利上げを続けた後、様子見に転じ、一定期間経過した後にバブル崩壊と景気後退に見舞われてきた。

  今回の景気拡大期ではFF金利が相対的に低い水準に長く抑えられてきたため、金融当局者はなお利上げに前のめりになっている。その一方で、政策当局者も認めているように引き締めでも緩和でもない中立金利は低下している。このため現行のFF金利水準でもすでに引き締め圏内に入っている可能性も否定できない。いずれにせよ、バブルの膨張と崩壊パターンが繰り返されるとすれば、追加利上げは最後の瞬間の訪れを早めることになりかねない。

(【FRBウオッチ】の内容は記者個人の見解です) 

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