ソニー:距離画像センサーの量産化を検討-拡張現実などで用途拡大へ

  • スマホARで搭載拡大か、自動運転やドローン、工場自動化など視野
  • センサー絶対王者「ナンバーワンは譲れない」-事業担当の吉原氏

ソニーは画像処理に使われるイメージセンサー事業を強化する。今春開発した新技術による距離画像センサーが、現実空間に実在しない画像などを組み合わせる「拡張現実(AR)」を採用した製品や、乗用車での自動運転技術の高度化など幅広い産業に役立つとみて、2018年の量産化の準備を進める。

  新技術のセンサーは対象物に光を照射しその到達速度で距離を測定するToF方式で、3次元構造で正確な位置などを計測できるのが特長。試作品は指に乗るコンパクトサイズだ。ARはスマホを持ち歩きながらモンスターを探して捕獲するゲーム「ポケモンGO」などで知られ、今後の活用に期待が広がっている。

  ソニーセミコンダクタソリューションズの吉原賢センシングソリューション事業部長は、同社の距離画像センサーについて「性能だけでなく、サイズや使い勝手の部分も非常にいい。次の収益の柱になり得る」と述べた。自社製品での採用に加え外販も視野に、来年の量産化を目指していることを明らかにした。

ソニーセミコンダクタソリューションズの吉原賢氏

ソニー提供

  ソニーのセンサーは性能の高さに定評があり、これまで自社のスマートフォンやデジタルカメラだけでなく、世界中で熱烈なファンを持つ米アップルの「iPhone(アイフォーン)」などにも採用されてきた。新型の距離画像センサーでもARをはじめ幅広い技術分野での採用を目指し、世界で主導権を握りたい考えだ。

スイス1社の寡占状態

  4-6月期のソニーの連結決算では、センサーを含む半導体事業の営業利益が554億円と他事業を含む営業利益全体の約3分の1を占め、現在はCMOSと呼ばれるイメージセンサーが半導体事業の主力製品となっている。ToFセンサーをCMOSに続く主力製品に育成できれば、ソニーの収益に大きく貢献する可能性がある。

  ソニーは3年前から3次元センサーの開発に乗り出し、15年には独BMWのセダン「7シリーズ」でToFセンサーが採用された実績を持つベルギーのソフトキネティックシステムズを買収して基礎技術を獲得。想定より早いペースで今回の距離画像センサーの開発にこぎつけた。

  テクノ・システム・リサーチは、16年の世界のイメージセンサー市場を約1兆1000億円と試算、ソニーのシェアは約5割とトップで2位の韓国サムスン電子(約2割)に大きく水を空ける。これに含まれないToFセンサー市場は1600億円。富士キメラ総研によると、スイスのSTマイクロエレクトロニクスのほぼ独占状態。

まずスマホで拡大か

  アップルは今年6月、アイフォーンやタブレット端末「iPad(アイパッド)」でAR体験ができるアプリに対応した新プラットホーム「ARKit」の提供を開始。家具大手イケアではスマホ画面に自宅で部屋を映し出し、購入したい家具の3次元画像を重ねて立体的に模様替えのイメージを体感できるアプリを開発した。

  11月に発売されるアイフォーンX(テン)には次世代のToFが搭載される。富士キメラの豊田裕介アナリストは「アイフォーンがToFを載せたことで、他のメーカーも追随してくる可能性が高い。ドローンや自動運転でも新規用途として注目される」と指摘。別の携帯メーカーによるToFの採用や用途の広がりを期待する。

  ソニーの平井一夫社長は5月の経営説明会でイメージセンサー事業について、工場自動化(FA)や車載向け、セキュリティー市場などで強化する方針を示した。吉原氏は個人や企業向けに関わらず用途の可能性は無限大だとし、「イメージセンサー業界ではナンバーワンであり続けたい。ここに関しては譲れない」と語った。

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