不正拡大の神戸鋼株は小動き、隠蔽や新たな改ざん-JIS違反の恐れ

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

神戸製鋼所の株価は小動き。不正行為の発覚を隠蔽(いんぺい)していた事実や、グループ会社での鉄鋼製品における検査データの改ざんが新たに明らかになった。さらに、日本工業規格(JIS)の法令違反の恐れも浮上。相次ぐ不正の発覚で、神戸鋼との取引を見直す動きも出てきた。

  この日の株価は前営業日比19円(2.2%)高の887円と反発して寄り付いたものの、その後上げ幅を縮小。一時、同3円(0.4%)安の865円と続落に転じる場面もあった。

  神戸鋼は20日、アルミ・銅事業部門の長府製造所(山口県)で行っていた自主点検の中で、アルミ押出品にデータ改ざんがあったことを知りながら、工場の管理職などが隠蔽し、発覚を逃れていた事実があったと発表した。子会社の神鋼鋼板加工(千葉県)での厚板の加工品についてもデータ改ざんがあったと発表。これで8日以降、データ改ざんの件数は17件に及ぶことになった。

  また、子会社のコベルコマテリアル銅管(KMCT)の秦野工場(神奈川県)で製造した銅管について、JISの認証機関である日本品質保証機構から品質管理に問題があるとの指摘を受け、同子会社でのJISマーク表示とJISマークの付いた製品の出荷を自粛するとも発表した。19日、20日と立ち入りの再審査を受けており、法令違反と認められた場合には JISマーク表示の停止、あるいは取り消しという事態になる。

  野村証券の松本裕司アナリストは23日付の投資家向けリポートで「新たな不適切行為の発覚により、今回のデータ改ざんの問題の根の深さが明らかになり、神戸鋼が顧客からの信頼を取り戻すのは容易ではないとの印象である」と指摘。問題が当初発覚してから11日までの2日間で株価は36%下落しており、一連のデータ改ざんなどの不適切行為に関連して発生し得る業績への直接的な悪影響などは「おおむね織り込まれた水準」としているが、「今回の発表は株価にはややネガティブ」とみている。

  20日の記者会見で神戸鋼の梅原尚人副社長は「われわれの信頼は大きく失墜した」と語った。神戸鋼から取引先を他社に切り替える動きもあるといい、事業への影響は出ていると述べた。数社の顧客からはコスト負担を求められているという。定量的な影響については「現時点ではどの程度か読める状況ではない」とした。

  経済産業省の小見山康二金属課長は同日夜の記者会見で、神戸鋼で発覚した隠蔽行為について「自主点検を通じた事実調査の信頼性を根本から損なう」と指摘。これまでに判明した事例の安全検証については、12日の指示通り2週間程度をめどに発表すること、外部の専門家で構成された調査委員会を速やかに立ち上げ、事実調査や原因究明、再発防止を行うことを指示したと述べた。

  19日にはトヨタ自動車やホンダなど自動車メーカーが、データが改ざんされたアルミ製品が安全基準を満たしていることを確認したと発表。リコール(無料の回収・修理)に発展する可能性が後退したとの見方から株価は上昇していた。自動車メーカーなどからの安全宣言に対して梅原副社長は「大変心から感謝している」とした上で、「そのような中でこのような不正が起こったことは申し訳ない以外の言葉はない。一日も早い信頼回復に向けて全社を挙げて努力して参りたい」と述べた。

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