【インサイト】安倍首相の衆院選勝利で短期成長加速ー債務抑制は困難

安倍首相

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

衆議院選挙の結果は22日午後8時すぎに各社が報じた出口調査に基づく開票予想によると、定数465議席のうち、自民党は連立政権を組む公明党と合わせると絶対安定多数(261議席)を超える3分の2をうかがい、安倍晋三首相(自民党総裁)が勝敗ラインとした「与党で過半数」を大きく上回る見込みだ。この結果は、来年9月に予定される自民党総裁選での安倍首相の再々任の可能性を高め、3期目満了の2021年までの戦後最長政権が視野に入る。消費税が2019年10月に予定通り引き上げられる可能性は高まったものの、改憲実現が視野に入る議席を背後に、幼児教育・保育の無償化に加えて、改憲のための政治・財政的妥協が強まれば、経済成長と政府債務の先行きがバランスのとれた持続可能なパスを描くのは難しくなるかもしれない。

  • ブルームバーグ・エコノミクスでは、22日午後8時すぎ時点での報道各社の出口調査や開票内容の見通し通り、自公政権が絶対安定多数である261議席を獲得し、全議席の2/3の議席前後の議席を得る結果となれば、足元の経済成長にはややプラスだが、長期的な政府債務拡大傾向を止めるのは難しいと見込んでいる。
  • 選挙結果は概ね事前予想に近い結果であり、月曜の東京市場は、選挙の結果そのものより、金曜の米国の株高、長期金利上昇による流れを引き継いで、金曜の東京時間15時時点よりはやや株高、円安の流れとなり、日経平均株価の15日間連騰の可能性は十分ある。日米金利差と投資家のリスク選好の変化からブルームバーク・エコノミクスが推計した結果によると、ドル円が金曜NY引けの113円半ばの水準はやや行き過ぎの可能性もあり、円安がさらに加速する展開にはなり難いと見ている。
  • また、自民党単独でも過半数を大きく上回る議席を獲得する見込みで、安倍首相が改憲論議に大きな政治資本を投入し、公明党や改憲に同意する政党との政策的妥協の結果、財政規律がさらに緩み、潜在成長率を上昇させるための構造改革に遅れがでるようなら、中長期的な日本の成長率も伸び悩む。
  • その結果、安倍首相の財政規律への姿勢と米連銀のバランスシート正常化の影響もあり、長期金利へ上昇圧力がかかる可能性がある。金曜に米上院の18年度予算の大枠を可決し、トランプ米大統領にとって重要政策課題が実現に近づいたこともそうした流れを加速する可能性もある。
  • その場合、長期金利を低位に維持する可能性から、日本銀行は現状の長短金利操作をより長く続ける必要性が高まり、黒田総裁の再任の可能性も高まるだろう。
  • 現状の金融政策の枠組みが直ちに持続不可能となる可能性は低いが、政府の日銀の金融政策への依存がさらに高まる状況が長引く中で景気が減速期入りすると、絶対額だけでなく、名目GDP比でも政府債務は拡大する。その場合、日銀の国債の大量保有による流動性の低下や債務の健全性への懸念により、政策の維持が困難となる可能性もある。

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JAPAN REACT: Abe Election Win - Growth Over Fiscal Consolidation

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