衆院選:内部留保課税に批判強める与党、希望に反発-優遇税制を検討

  • 安倍晋三首相は税収も一定せず安定財源にならないと批判
  • 希望の党は公約に明記も、小池代表は「課税にこだわらない」

Campaigning In The Highly Contested 5th District of Saitama

Phohtographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

希望の党が衆院選公約に企業への内部留保課税を掲げたことをきっかけに、自民党と公明党が批判を強めている。与党の一部からも企業が内部留保を賃上げや設備投資に振り向けるよう課税を求める声が上がっていたが、代替案として資金の活用を促す優遇税制の導入を検討している。

  安倍晋三首相は8日の党首討論で、内部留保課税を導入すれば日本企業の海外移転が進み「空洞化をもたらす」と希望の党の小池百合子代表(東京都知事)を批判。税収も一定せず「安定財源にはならない」と述べた。麻生太郎財務相も20日の会見で、内部留保を投資や賃金に回す必要性を指摘したものの、課税については「二重課税になるから難しい」と否定した。

  経済界も批判の声を強めている。経団連の榊原定征会長は10日、「デフレ脱却、経済再生のために不可欠な積極投資にマイナスの影響を与える」とした上で、「経済界として受け入れられるものではない」と述べた。日本商工会議所の三村明夫会頭も5日、「再度税金をかけることになり、まったくおかしなこと」と指摘した。

  希望の党は6日発表した公約で、消費税率の引き上げを凍結する一方で、代替財源として「大企業の内部留保に課税する」と明記した。批判が相次ぐ中、小池都知事は13日の日本経済新聞の取材に「課税にこだわらない」と答えている。

  SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは19日の電話取材で、「希望の党は国民受けしそうな政策を場当たり的に盛り込んだ」と分析。与党の攻勢については「消費税や原発に比べて攻撃しやすいテーマだ」と述べ、過去に与党から上がった内部留保課税を求める声については企業に「金を使えというプレッシャーをかけただけだ」と話した。

優遇税制

  内部留保課税の代わりに浮上したのが、企業への優遇税制だ。匿名を条件に取材に応じた政府関係者2人によると、政府は内部留保を賃上げや設備投資に回した企業の税負担を軽減する税制改正を検討している。

  岸田文雄政調会長は15日のNHK番組で、内部留保の活用促進策として「インセンティブが働くような税制」を提案し、公明党の石田祝稔政調会長も「投資減税」で環境づくりを進めることが重要だと話した。岸田氏は内部留保課税によって「企業が日本の外に逃げてしまう」と批判し、石田氏も「懲罰的な話でお金は出てこない」と述べた。

  トランプ米政権も法人実効税率の引き下げを明言している。SMBC日興証券の宮前氏は「世界的な法人税引き下げ競争が起きている。トランプ政権の方針も日本の投資減税の後押しになっている」と分析した。

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