旅行サイトが発掘した世界一のレストラン、シェフの人生も一変

  • 受賞した「ブラック・スワン」には、4時間で1200件の予約申し込み
  • シェフのバンクス氏は13年、24歳でミシュラン一つ星を獲得

世界最高のレストランについて尋ねられたら、ゴージャスで絢爛(けんらん)豪華な店を思い浮かべるかもしれない。

  実際、私はそうしたレストランを訪れるため、スペイン・カタルーニャ州で海を見下ろす丘の中腹にある村やイタリア北部の都市モデナの裏通りなどを旅してきた。だが、英イングランド北部の田舎にある「ブラック・スワン・アット・オールドステッド」のような店は初めてだった。
 

シェフのトミー・バンクス氏

写真:Richard Vines / Bloomberg

  そう、「トリップアドバイザー・トラベラーズ・チョイス・レストラン」のファインダイニング部門を制したのがここだ。この賞に、毎年発表されプロの注目も集める「世界のベストレストラン50」のような権威はない。それでも、一般旅行サイトの評価だといって侮ってはいけない。

  今回の受賞はブラック・スワンのシェフ、トミー・バンクス氏や家族の人生を一変させることになるかもしれない。「正直言って、からかわれているのかと思った」と言う同氏によれば、想像もしなかった展開になっている。

  電話が鳴り止まず、次から次に電子メールを受け取り、4時間で1200件の予約申し込みがあったという。翌日の朝には取材陣が押しかけ、テレビの中継車が終日いるありさまだ。たった1日の午後だけで9万人がウェブサイトを訪れたという。

ブラック・スワンのコース料理

写真:Richard Vines / Bloomberg

  バンクス氏は2013年、24歳の時にミシュランの一つ星を獲得。BBC放送のテレビ番組「グレート・ブリティッシュ・メニュー」でも取り上げられたこともある。だが、今回の方が反響はずっと大きいそうだ。

https://soundcloud.com/user-322211172/bloombergs-richard-vines-on-tripadvisors-top-restaurant-of-2017

  家族経営のこの店で、バンクス氏が提供する唯一のコースメニューは95ポンド(約1万4200円)。農業をしている両親が購入したパブをレストランに改装。バーの上の小さなスペースにあるメインのダイニングルームはなんともつつましやかだ。

こじんまりとしたダイニングルーム

写真:Richard Vines / Bloomberg

  トリップアドバイザーのこの賞が始まったのは12年。賞を選ぶのは食通や専門家ではなく、過去12カ月の間に書かれた一般の人のレビューがベースになる。このため、聞き慣れない店が上位を占める。レストランガイドとしては確かに世界一ではないかもしれないし、私が選ぶ世界のベストレストランはブラック・スワンではないかもしれない。だが私が訪れた土曜日のランチは、今年経験した中でもとりわけ楽しめたメニューだった。

  ロンドンから230マイル(約370キロメートル)余り離れているノースヨークシャーのこの店だが、再訪をためらうことはない。もちろん、もし、予約が取れればの話だが。
(リチャード・バインズ)

  (バインズ氏はブルームバーグの料理評論家です。 Twitter @richardvines 、Instagram @ richard.vines

原題:Why a Pub in the Middle of Nowhere Was Named the World’s Best Restaurant(抜粋)

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