デジタル得意な若い世代、アジア各地で親族のテクノロジー投資を主導

  • 若い経営者は皆、オンラインなしに生き残れないと知っている
  • 第一世代は無難な資産クラスに投資とシンガポールのタクラル氏

香港では35歳のマシュー・タイ氏が、父親ら親族が不動産で築いた資産の一部をデジタル分野の新興企業に投じている。クラウドファンディングのプラットフォーム「ファンドハイブ」や超薄型の液晶ディスプレー(LCD)スクリーンを生産する「オルガノサーキット」、それに人材募集のウェブサイト「フリーボー」だ。

マシュー・タイ氏

写真:アンソニー・クワン/ブルームバーグ

  タイ氏のファミリーオフィスは7000万ドル(約79億円)規模。その約15%をテクノロジー投資に充てているという。2年前、そうした投資は一切なかった。「土地開発が家業だったが、もう過去の話だ。新しい世界はサイバーワールドだ」と同氏は話す。

  コンサルティング会社のキャップジェミニによれば、アジアの富裕層が運用する資産は17兆ドルを突破。その一部がアジアの内外を問わずテクノロジー業界のスタートアップ企業に投じられている。資産家一族を引き継ぐデジタルに詳しい若い世代が家族の資金を動かすようになっていることが背景だ。

  ソフトバンクの930億ドル規模のビジョンファンドや中国国有の事業体、そして世界中の投資家が、資金を投じる新たなビジネスを求めている。アジアの富豪による投資は従来は不動産や製造業を重視する保守的なアプローチが主流だったが、今では初期段階から新興企業に投資する資産家が増えている。

釈迦に説法

  シンガポールのオジ・アマナト氏によれば、「テクノロジー投資について古い世代に納得してもらうのは容易ではない」。同氏は自らのベンチャーキャピタル、K2グローバルを通じ富裕層の資金をテクノロジー分野に投資するため1億8300万ドルを集めた。「若い経営者には釈迦(しゃか)に説法だ。オンラインで消費者とつながらなければ今はどんなビジネスであれ生き残ることはできないと皆知っている」と語る。

  マレーシアでは、26歳のジョ・ジョ・コン氏がテクノロジー投資を進めている。同氏の父は1980年代に葬儀会社を設立後、不動産業界への進出で富を築いた。親族の不動産開発会社の経営に関わるコン氏は8月、他のよく知られたマレーシア実業家の子供らが設立した投資会社RHLベンチャーズのパートナーとなった。

ジョ・ジョ・コン氏

写真:Ernest Lew / Handcrafted Pictures Co.

  シンガポールのサトビール・シン・タクラル氏もテクノロジーに賭けている。同氏の親族は1905年にタイで繊維取引を開始。今では小売りから不動産、流通などに至るコングロマリットを率いるが、同氏は父親と共にシンガポール・エンゼル・ネットワークを始め、家業として約100社のテクノロジー新興会社に投資している。

  「第一世代は一般的に債券や株式、不動産、そして金といった無難な資産クラスに投資し、後継者の世代は無難な資産で得るリターンを補完するようなリターンを求め始める」のだそうだ。

原題:Rich Asian Clans Are Pouring Money Into Technology Startups (1)(抜粋)

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