ウォール街の大手銀行の経営幹部は人工知能(AI)を活用していかに賢くスリムダウンできるかを熱心に説いているが、そうすると業界に入ってくる若い人はどうなるのかという問いに直面すると、言葉に詰まってしまう。

  「ええっと」などと口ごもって、おおっぴらには言えないということを明確にした上で、実は自分にも子供がいるので気になっているのだと打ち明ける。「子供たちには慎重に職業を選んでもらいたい。AIはほとんどの仕事をなくしてしまうと思う。個人的な見方だが、私たちはそれを感じ始めていると思う」と話す。

  金融機関の経営陣が新世代テクノロジーを導入しようとする中で、上級職の社員は考えることが多い。表向きは、反復的な作業を機械がやってくれて人間がより価値のある仕事に集中できるようになると明るい見通しを示す。しかし個人的な場では多くの幹部が、部下たちがどうなるだろうと心配し、彼らに何と言えばいいだろうという悩みを、同僚やコンサルタント、時にはジャーナリストを相手に漏らしている。

  不透明感もある。恐らく、心配は行き過ぎだろう。テクノロジーを導入するのは困難だし、人間のための新しい役割が見つかるだろう。それとも、これは銀行員というおいしい職業の終わりの始まりなのか。百万長者になれるオフィスワーカーという職は、かつての工場労働者と同様、消滅する運命なのだろうか。

  このため、従業員たちも将来についての明瞭なメッセージを得ることができない。

  コンサルティング会社マッキンゼーの7月のリポートによれば、これまでのところ、テクノロジー採用先進企業は人員を削減していない。その一社であるJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は6月に、同行の従業員数は今後20年の間に減るよりもむしろ増えるだろうとの見方を示した。

  一方、インタビューに応じたウォール街幹部や技術コンサルタント十数人は、人間の役割について弱気だった。機械が次々と仕事を奪っていき、銀行は今ほど多くの人間を必要としなくなるだろうという見方だ。

  グラント・ソーントンで銀行や運用業界のフィンテック・イノベーションについてアドバイスするサイモン・モス氏によれば、上級管理職は歯に絹を着せるのをやめるべき時だ。「金融サービスでテクノロジーの影響が及ばない職種などあるだろうか。答えはノーだ。単に時間の問題だ」と同氏は述べた。

原題:The Upbeat Bankers Who Privately Fret About Gutting Their Staffs(抜粋)

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