ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)日本法人の私募不動産投資信託(リート)は、立ち上げから5年で運用額が約5倍の1000億円に達した。日本銀行のマイナス金利政策による運用難が続く中、機関投資家の資金が流入している。石川克博不動産運用部長が明らかにした。

  低金利環境は続きそうで「運用額が積み上がっている」と石川部長は述べた。GSAM日本法人の私募リートは地方銀行など地方金融機関と年金が投資家の8割を占める。8月に文京区のオフィスビルを約70億円で取得、年内の50億円程度の物件も交渉中だ。今後も年150億-200億円程度の物件を取得する。都内オフィス市況について石川部長は「来年からの新規供給で賃料の大幅な伸びは期待できなくても賃料収入という意味では大きな下振れは考えにくい」と語った。

  私募リートは非上場で金融市場の影響で価格が変動するリスクがないのが特徴で、機関投資家の運用先として拡大を続けている。不動産証券化協会の資料では6月末時点の私募リートの保有資産総額は2兆2384億円で、10年のスタート時の約200億円から大幅に拡大した。野村不動産や三菱地所のほか、商社の丸紅や総合物流のセンコーグループ系など運用会社は銘柄数は22に上る。

  石川部長は国内の不動産投資市場について「売りに出てきた時の価格競争が厳しく、物件数も減っているので投資しにくい」と語った。世界的な低金利で投資マネーが不動産市場に流入した結果、都内のオフィスビル価格は高止まりしている。不動産サービスのCBREがまとめた投資家調査によると、東京オフィスビル投資の期待利回りは7月現在で3.4%まで低下し、集計を開始した03年以来最低だった。石川氏は「4%の利回りで東京のオフィスを買うのは難しくなってきている」と指摘。

  一方で、低水準を続ける日本国債利回りと東京のオフィス投資の期待利回りのスプレッドは、JLLのリポートによると6月末で281ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、13年以降は概ね横ばいで推移している。石川氏は「不動産投資利回りの部分だけみるとリーマンショック前を下回っている部分があるが、イールドスプレッドはまだ乗っている」と述べた。

  不動産投資商品への関心の高まりとともに関連商品に投資する動きが広がっている。三井住友信託銀行と三菱東京UFJ銀行はリート向け債権の貸し倒れ部分を証券化して投資家向けに販売している。

  GSAMは米ゴールドマン・サックス・グループの資産運用部門で、全世界の投資家から受託している運用資産残高は138兆円。債券はこのうち62兆円と最大を占め、不動産を含む代替投資は約14兆円(16年12月現在)。日本法人の運用残高は6 月末の公表ベースで約6兆3000億円。このうち1000億円を占める私募リートは、投資地域で東京が80%を占めており、オフィスビルが75%で住宅が15%となっている。

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