自公勝利なら2万2000円も、収益質上がりアベノミクス高値に余力

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  • 15年6月高値時のPERは16倍台、海外勢10月に入り一転日本株買う
  • 短期的には調整リスク、投票日前日までが13勝1敗のアノマリー

電撃解散、野党再編のうねりの中で迎えた衆院選の投開票まで1週間弱。メディアの情勢予測で示された自民・公明の与党勝利なら、政治安定を願う日本株市場は歓迎し、アベノミクス相場の高値をさらに更新しそうだ。ベースとなる企業収益の質が上がっており、日経平均株価2万2000円も論理的に可能になる。

  日本株ストラテジストらがベストシナリオと期待するのが日本銀行とも連携し、成長戦略で経済を活性化させてきた安倍政権の継続だ。7月の東京都議会選で自民党を惨敗に追い込んだ小池百合子都知事が9月25日に希望の党の立ち上げを表明、北朝鮮情勢への警戒に国内政治の不透明感が加わり、26ー27日の取引で日経平均は続落した。その後民進党の分断で野党側のすう勢が読みにくくなると、10月に入り17日までことし最長の11連騰。与党優勢の観測もあり、2015年6月に付けた安倍政権下の最高値(2万0952円71銭)を更新し、21年ぶりに2万1000円を超えた。

安倍首相と小池都知事

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  野村証券投資情報部の山口正章エクイティ・マーケット・ストラテジストは、「与党勝利はアベノミクスの信任になり、日銀の金融政策ががらりと変わるリスクが低下する。今後もドル高・円安シナリオが崩れないという観点で、日本株にポジティブ」との見方だ。マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストも、過去5年間政権は安定し、景気拡大も戦後2番目の長さとなるなど国内経済は回復、株価も上がり、「安倍政権がうまくやってきた実績がある」と話す。

  公示後の10ー11日に読売新聞が行った世論調査では、選挙戦序盤を自民党は小選挙区、比例とも優勢に進め、単独で過半数の233を大きく上回る勢い。希望の党は公示前の57議席をわずかに超える程度と伸び悩んでいる。共同通信の調査は自民、公明両党で300議席超をうかがうとした。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券によると、1970年以降の衆院解散・総選挙と日本株の関係は、解散日から投票日前日までの騰落が日経平均で13勝1敗、TOPIXで11勝3敗と投票日までが上昇しやすいアノマリーがある。一転、選挙終了後1カ月はそれぞれ7勝8敗、8勝7敗と勢いは鈍化。今回も解散した9月28日以降、日経平均は既に4%超、900円以上上げ、結果判明後に調整する可能性はあるが、与党勝利時のストラテジストらのメインシナリオは上昇相場の継続だ。

  ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、日経平均の予想株価収益率(PER)が14倍台とこれまでのアベミクス高値だった15年6月の16倍台を下回り、バリュエーション面から評価余地があると分析。15年当時の1株利益(EPS)1257円に対し直近で1444円と15%近く増えているが、「割高感はない状況。2年前の高値とは意味合いが違う」と言う。

  直近の予想EPSにアベノミクス相場が本格化した13年以降の平均PER15.5倍を乗じると、2万2000円を上抜ける。さらに井出氏は、10月下旬に本格化する決算発表で17年度の通期業績見通しの上方修正が相次げば、PERが切り下がり、株価の割安感が増すとみている。

  三菱モルガン証の芳賀沼千里チーフストラテジストは、国内政局や北朝鮮情勢、米国の金融政策見通しなど「これら一つ一つが思ったほど悪くないのではないかということで、素直に業績の良い部分を評価できるようになった」と指摘。株価も今が天井とは判断しておらず、「あと5ー10%、日経平均で2万2000円を超える可能性が高い」とし、衆院選後に「海外投資家の買いが膨らんでいく」と予想する。

  8、9月の2カ月で日本株現物を約1兆3000億円売り越した海外投資家は一転、衆院選が始まった10月1週(2ー6日)に6575億円買い越し、買越額は2年半ぶりの大きさに膨らんだ。ゴールドマン・サックス証券のチーフストラテジスト、キャシー・松井氏は安倍政権続投なら成長促進に重点が置かれ、財政政策では2兆円規模の今年度補正予算編成が柱となり、地政学リスクを反映した防衛費の拡大、金融政策は日銀の量的・質的枠組みが維持されると想定。このシナリオでは、与党の子育て・教育政策、防衛費拡大の恩恵を享受する銘柄が注目されるとしている。

  一方、衆院選での与党勝利が現実化しても、相場や日本経済への影響について慎重にみる向きもある。UBS証券ウェルス・マネジメント本部の居林通日本株リサーチヘッドは、アベノミクスで新たな政策は出ていないとし、これまでの5年間で日本経済に大きな変化をもたらしたが、既にそのモメンタムは低下していると指摘した。

  18日の日本株は、記録的連騰による反動への警戒と過熱感から方向感に乏しい中でも日経平均は一時0.3%高の2万1400円、TOPIXも0.2%高の1726を付け、ともに取引時間中の年初来高値を更新した。

(文末に18日の日本株動向を追記.)
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