米財務省の今週のTIPS入札、インフレに賭けるのはギャンブルか

  • 米財務省は30年物TIPSを50億ドル相当入札へ
  • 9月のコアCPIは予想下回る、利回り曲線は07年以来最もフラット
Photographer: Jason Alden/Bloomberg
Photographer: Jason Alden/Bloomberg

あなたが債券トレーダーで、低インフレは一時的にすぎないという米連邦準備制度の見方に同意するのなら、米財務省はかなり素晴らしい取引をもたらすだろう。

  米国では19日、30年物のインフレ連動債券(TIPS)50億ドル(約5600億円)の入札が行われる予定で、今年3回目で年内最後となる。インフレ加速で債券のリターンが損なわれると懸念する人々には絶対必要なヘッジだろう。

  ただ問題なのは、最近のインフレ統計が再び期待外れだったことだ。10月13日発表の9月の米消費者物価指数(CPI)のコア指数(食品・エネルギーを除く)は前年同月比1.7%上昇と、市場予想の1.8%上昇に届かなかった。これを受け、市場のインフレ期待の指標となる30年物ブレークイーブンレートは5月以来の高水準から低下し約1.93ポイントを付けた。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が15日に「今年の米経済で最大の驚き」と呼んだインフレを巡る投資家の疑問は、TIPS市場以外にも波紋を広げた。インフレ率が目標の2%に届くかどうかにかかわらず米金融当局が12月に利上げする構えを見せる中、5年物と30年物の利回り曲線は先週、2007年以降で最も平たん化した。利回り曲線がいずれ「逆イールド」に転じるとの見方を強めるマネーマネジャーもいる。逆イールドは近い将来のリセッション(景気後退)の前触れであることが長年にかけて実証されている。

  BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン、アーロン・コーリ両氏は最新のインフレ統計を受けてリポートで、「米金融当局は低インフレの『不可解な』性質をもちろん強調するだろうが、12月利上げに向けて前進することに連邦公開市場委員会(FOMC)がこだわれば政策ミスになりかねないとわれわれは懸念を強めている」と記した。

  今週の30年物TIPS入札では、6月の入札時ほど関心が高まりにくい可能性がある。キャンター・フィッツジェラルドのストラテジスト、ジャスティン・レデラー氏は「ブレークイーブンがこの水準でどのような投資意欲が見られるか興味深い。インフレ加速を見込んだ買い手はまだいるだろう。だが、それは(利回り曲線の)ロングエンドであり、常にばくち的だ」と述べた。

原題:Bond Traders Face Inflation Gamble That Will Last a Generation(抜粋)

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