世界の中銀首脳、株高をリスクと見なさず-バンカーは慢心を警告

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  • IMF・世銀の年次総会で日銀総裁らは警告を一蹴した
  • 株価と資産価格の急伸は経済・金融の安定脅かさずと主張
Photographer: Olivier Doulier/Bloomberg

世界経済の守護者を務める主要中央銀行の首脳らは、このところの株価と資産価格の急伸は経済・金融の安定を脅かすものではないと指摘し、投資家が再び金融危機前のように自信過剰になる恐れがあるとの一部バンカーの警告を一蹴した。

黒田日銀総裁

写真家:Akio Kon / Bloomberg

  ワシントンで開催された国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会など一連の国際金融会議では、民間のバンカーらが警戒を呼び掛ける一方で、主要中銀や財務省のトップは現在の相場水準に安心感を示すという、異例の立場の逆転が見られた。

  日本銀行の黒田東彦総裁は「日米欧の金融市場でリスクの高まりは見受けられない」と発言。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は「株式と債券のバリュエーションが過去の平均と比べて伸長している」兆候はほとんど見られないと述べた。

  一方、バークレイズのジェス・ステーリー最高経営責任者(CEO)は今年の市場は「2006年と同じぐらい無風に感じられている」と発言し、金融危機前の状況に近いと示唆した。スタンダード・ライフ・アバディーンのマーティン・ギルバート氏は「資産価格は総じて余りに高過ぎる」と語った。

  
  MSCI世界指数は先週、最高値を更新し、年初来の上昇率は16%に達した。これに対し、シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は今月、過去最低を記録した。

  こうした相場動向について、国際通貨基金(IMF)が先週、今年と来年の世界成長見通しを上方修正したことに裏付けられたように、景気拡大ペースの加速と低インフレの同時進行によって説明可能だとの見方がある。またその一方で、10年間の金融緩和策によって市場が過度に「泡立って」いるのではないかとの懸念も存在する。

  フランスのルメール経済・財務相は、「世界の成長に関して楽観ムードが広がっていることは明らかだ」と述べた上で、「資産価格と債務水準が注視されている」と指摘した。

  ただ、政策当局者が楽観論一色であったわけでも、民間バンカー全てが懸念を抱いていたわけでもない。ボストン連銀のローゼングレン総裁やパウエル連邦準備制度理事会(FRB)理事は、市場の過剰なリスクテークを防ぐために利上げへの積極姿勢を強める意向を示唆した。

  ローゼングレン総裁は13日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、低金利が投資家の利回り追求を促し、投資家がリスクにさらされやすくなっていると発言。次期FRB議長候補の1人であるパウエル理事は12日の講演で、新興市場経済の企業債務に端を発する「重大」なリスクを強調した。

  他方、JPモルガン・チェースの投資銀行部門責任者ダニエル・ピント氏は14日、市場のレバレッジが依然として控えめで、インフレが低水準にある点を踏まえれば、世界的な景気拡大は「しばらく続くのではないか」との見方を示した。
  
原題:Policy Makers Signal Comfort on Stocks as Bankers Urge Caution(抜粋)

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