日本はFTA交渉に応じない構え、TPP11合意見据え-日米経済対話

  • 米国は日本とのFTAを熱望、韓国と再交渉で圧力強まる
  • 交渉結果は選挙にも影響、譲歩すれば自民党票の減少も
Bloomberg
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麻生太郎副総理とペンス米副大統領が主導する経済対話の第2回会合がワシントンで16日(現地時間)、開催される。自由貿易協定(FTA)の締結を求める米国に対し、環太平洋連携協定(TPP)交渉への影響を懸念する日本は受け入れられないとの立場を崩しておらず、今回も議論は平行線をたどりそうだ。

  政府関係者は10日、記者団に対し、米国抜きのTPP交渉が最終局面を迎える中、日米FTAには応じられないと発言。日米間でFTAをめぐる協議が進めば、他のTPP参加国が合意への意欲を失い、交渉が決裂する懸念があると説明した。

  米国は多国間協議よりも有利な条件を勝ち取れるとして、2国間交渉に軸足を移している。韓国が米国とのFTA再交渉を受け入れたことも日本にとって逆風だ。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは「これで米国からの圧力は従来以上に強まる。日本にとって良い動きではない」と指摘する。

  一方、日本は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で米国を除いた11カ国間のTPPの大筋合意を目指している。早期発効を通じて米国に復帰を促す方針だ。日米FTAは日本の農産品などの関税撤廃につながるだけではなく、対中国を見据えて、TPPをきっかけにアジアの多国間貿易交渉の主導権を握りたい日本の長期的な戦略にも影響するため、日本は譲れない立場だ。

  9月のTPP首席交渉官会合では、米国の利益につながる項目を凍結して早期合意を目指す方向で議論を進めた。米国に復帰の門戸を確保しておくためで、復帰後は凍結を解除して元通りの合意内容に戻す。

選挙

  総選挙の最中であることも日本側が譲歩できない要因だ。安易に米国側の言い分を受け入れる姿勢を見せれば、自民党の得票減につながる可能性もある。16年夏の参院選では、米国が農業分野の市場開放を求めたTPPへの反発から、自民党は農業が盛んな東北地方で大敗を喫した。

  米国はFTA交渉でも引き続き農業を重要視する。パーデュー農務長官は4日、ワシントンで講演し、農産品の関税率を引き下げるために日本とのFTA交渉を「熱望している」と言明。これを受けて斎藤健農相は6日の会見で、「私はアメリカがTPPに戻ってくれることを熱望している」と応じた。

  矢嶋氏は「経済対話で平行線をたどっても、11月には首脳会談もある。来年の中間選挙前に実績を上げるため、米国は圧力を止めないだろう」との見方を示した。

  米財務省のフェイスブックに投稿されたビデオによると、ムニューシン財務長官は16日の第2回経済対話に参加する意向を表明した。日本政府はこれまで経済対話で為替について議論しない立場を取ってきており、ムニューシン氏は4月に日本で行われた初会合には出席していない。

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