選挙後に潜む金利上昇シナリオ、与党優勢でアベノミクス継続でも

更新日時
  • 日銀、何が何でもという姿勢に危うさも-損保ジャパン日本興亜
  • いつまで緩和策続けるのか議論あってもおかしくない-三井住友AM
Bloomberg

22日の衆議院選挙では自民・公明の与党優勢が伝えられており、日本銀行による現行の金融緩和策が継続される見通しだ。一方で、日銀が掲げる物価目標の達成が一向に見通せない中、選挙をきっかけに金融政策見直しの動きが出る可能性があるとの見方もあり、今後の金利上昇シナリオとして警戒され始めている。

  与党が過半数の議席を維持すれば安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の継続とともに、2018年4月の日銀正副総裁人事が現行路線に沿った人選となり、金融政策も不変というのが債券市場参加者の見立てだ。ただ、日銀は現行政策の枠組みで2%の物価上昇を目指しているが、足元の数値からは程遠い。7月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では目標達成時期を18年度ごろから19年度ごろとし、6回目の先送りとなった。

  損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの平松伸仁債券運用部長は、「日銀が物価目標達成の時期を10月ではなく7月の展望リポートで延期したことは、何が何でもやるという姿勢を堅持することが危ういと感じている可能性がある」と指摘。「当初の目標は2年だったが、長期的な形で達成せざるを得なくなっている。そう考えると、今のマイナス金利政策を続けるとどうしても市場が不安定になるので、政権交代がドラスティックに起きなくても、訂正の声が出てくるのではないか」と読む。

衆院選が一つのタイミング

  長期金利の指標となる10年債利回りは、9月上旬に一時マイナス圏に沈んで昨年11月以来の水準まで低下する場面もあったが、今月3日には0.08%まで戻した。足元では0.06%付近と、プラスを維持して推移している。

  三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッドは、「物価目標の2%を今すぐなんとかしようとして金融政策を追加するという発想自体は安倍政権であっても恐らく変わっていく」と指摘。「デフレ下で始まった緩和策を曲がりなりにもデフレではなくなっている環境の中でいつまで続けるのかという議論はあってもおかしくない。衆院選が一つのタイミングになる」とみる。

  日銀は昨年9月、金融調節方針の操作目標の軸足をお金の量から金利に移行した。長期金利の誘導目標をゼロ%程度、短期金利をマイナス0.1%とするイールドカーブコントロール(YCC)を導入。国債買い入れは年間約80兆円増をめどとしているが、実際は60兆円増にとどまっている。

  JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、「日銀はYCCのスキームを導入して徐々に量的緩和政策から離脱していこうと出口戦略をもう取っている」と指摘。ただ、「長短金利操作の中で物価目標を達成する構えだが、日銀にとって2%がすでにソフトターゲットになっていると考えていい」と言う。

市場関係者の見方は以下の通り

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◎三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッド

  • 黒田日銀の政策は日本の製造業にはサポーティブ、これまで痛め付けられてきたセクターにどれだけ手を差し伸べるかというところ
  • イールドカーブを少し立たせるということはやるべきではないか

  
◎損保ジャパン日本興亜アセットマネジメントの平松伸仁債券運用部長

  • 安倍政権交代という結果になれば、アベノミクスの鍵となってきた金融政策に目が向き、現行のイールドカーブコントロールに対する疑問が出てくるだろう
  • 特にマイナス金利は好ましいと思われていないため、プラスになってくるという思惑が広がる可能性

  
◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

  • メインシナリオは黒田総裁の再任だが、あくまでも安倍首相の続投が前提
  • 安倍退陣シナリオには要注意。市場がどう反応するかみえにくいが、どちらかというと債券売り圧力

  
◎大和住銀投信投資顧問の国部真二債券運用第二部長

  • 政権が安定すれば安倍・黒田路線の継続ということになり、安心感が出る
  • 基本的には低ボラティリティーの時間帯に落ち着いてしまうだろ

  
◎三菱UFJ国際投信の加藤章夫レーディング部長

  • 安倍政権が求心力を失う勝ち方であればアベノミクス全体の見直し迫られ、黒田総裁の再任が厳しくなる可能性
  • 今の大規模緩和がどこかでやり方を変えざるを得ないという見方は出てくるだろう

  
◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長

  • 国内投資家は30年利回りが1%に届くまで積極的には出てこない
  • 30年1%に乗せると、10年金利の誘導目標をゼロ%から0.1%に上げても経済に影響はないというシグナルになる可能性も

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(長期金利の推移と一部コメントを追加しました.)
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