品質不正問題が発覚した神戸製鋼所は信用指標が大幅に悪化。月内にも既発債の償還を控える中、社債発行による借り換えは困難だ。顧客企業への大きな補償問題に発展するかどうか次第では、将来は資産売却や金融機関による支援が必要になる可能性もある。

  同社の社債発行残高は現在1760億円。10月27日には200億円が償還期限を迎える。通常ならば、新規発行し借り換えることになるが、品質不正問題を受けて社債の利回りが急上昇。ブルームバーグのデータによると、神戸鋼債(22年2月償還)の対国債スプレッドは、12日には234ベーシスポイント(bp)となり、問題が表面化する以前の6日(58bp)の4倍強に拡大した。

  神戸鋼は8日、顧客の製品仕様に適合させるため、強度などの検査証明書のデータを書き換えて出荷していた事実が判明したと発表した。さらに海外で生産する線材と呼ばれる鉄鋼製品の生産に関しても、新たに不適切な行為があったことなどが次々と判明。同社は13日、不適切行為があった製品の納入先は計500社に拡大したと発表した。

  朝日ライフアセットマネジメントの中谷吉宏シニアファンドマネジャーは、神戸鋼の社債発行について「証券会社が引き受けても、多分売れなくて在庫を抱えてしまうことになる。新発債の起債は当分できないだろう」と語り、当分は「銀行融資に頼るしかなくなる」との見方を示した。IR資料によると、日本政策投資銀行やみずほ銀行が主要借入先の上位に入っている。

  ムーディーズ・インベスターズ・サービスの柳瀬志樹シニア・クレジット・オフィサーは13日のセミナーで、「仮に神戸鋼の材料が使われたボンネットなどの交換が必要な事態となれば、(タカタのような)エアバッグなどよりも費用が大きくなる可能性は残っている」との見方を示した。

現金化できる資産潤沢

  大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは13日付のリポートで、「投資有価証券だけでも1,000 億円以上の資産を保有。事業ポートフォリオも幅広く、現金化できる資産・事業が豊富な点はやや安心材料だ」と指摘している。ブルームバーグのデータによれば、同社の現金・現金同等物は6月末時点で2481億円ある。

  同社財務部の長和智之課長は、「常に社債の償還には社債を充てると厳密に決めているわけではない」 とし、「現状の資金需要を勘案して起債は予定していない」と話した。

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