米国の懸念解消へ譲歩案、冷凍牛肉セーフガードで-日米経済対話

  • 法改正せずに運用変更で対応、輸入量調整も選択肢
  • 発動後に米国産牛肉の輸入は前年比22%増も冷凍牛肉は26%減
Photographer: Ty Wright/Bloomberg

政府は16日にワシントンで開催される日米経済対話で、米国産の冷凍牛肉への緊急輸入制限(セーフガード)の改善策の提案を検討している。個別議題で譲歩し、対日貿易赤字を問題視している米国に対して「ゼロ回答」を避ける狙いがあるが、合意を得るのは難しいとの見方もある。

  今回のセーフガードは8月1日から発動し、2018年3月31日までの期間、関税が38.5%から50%に引き上げられる。4-6月期の輸入量が前年同期比117%以上増えたことに伴う措置。日本と経済連携協定(EPA)を結んでいる豪州は対象から外れ、米側からは発動に懸念の声が出ていた。

  セーフガードの根拠となる法律では、対象期間や増加幅の基準値を明記している上、既に発動されたセーフガードを中止することもできない仕組みとなっている。政府内では法律を変更せず、基準数量を超える見通しとなった場合に事前に輸入量を調整するといった対応が選択肢に浮上している。

  麻生太郎財務相は6日の会見で、セーフガードについては法律改正を行わなくとも運用変更で問題を避けられるとの考えを示した。経済対話では「国益をしっかり守りながら、日米が両方ともウィンウィンの関係になれるように建設的な議論をしたい」と語った。

  パーデュー米農務長官は7月28日に声明を出し、セーフガードの発動について「農業分野における日本との2国間貿易関係を悪化させる」と批判。問題解決に向けて努力するよう日本政府代表者に直接求めたと明記した。

  一方で、セーフガード発動後も米国産の牛肉の輸入は増えている。8月の貿易統計によると冷凍牛肉の輸入量は前年同月比26%減少した一方で、冷蔵牛肉は同54%増加。牛肉全体の輸入量は同22%増の1万8038トンだった。

  みずほ総研の菅原淳一主席研究員は12日の電話取材で、「運用面の変更でできることは限られている。米国の納得を得るのは難しい」との見方を示した。牛肉は「日本市場の閉鎖性の象徴」になっていると指摘し、「実害というよりも、これを機に制度面を見直したいのが米国の立場だ」とみている。

  同じ牛肉でも、米国産から豪州産に切り替えるのは簡単ではない。牛丼で有名な「吉野家」で使われている牛肉の9割強は米国産の冷凍牛肉。吉野家ホールディングスの広報担当者は11日の電話取材で、米国の牛は穀物で肥育されているため牛丼のたれとなじむと説明し、セーフガード発動後も米国産以外にすることは考えていないと話した。

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